■適正体重とは?~自分の適正体重を知ろう~
講師:一般社団法人 南高医師会 寺澤佳洋先生(医療法人 弘池会 口之津病院(口之津町))
Q.適正体重って何ですか?
A.皆さんいきなりですが、BMIという言葉を聞いたことがありますか?
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められ、肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数です。
BMIの理想的な数字は、“22”と聞いたことがある人もいるかもしれません。
そのことから、適正体重は、身長(m)×身長(m)×22で求められます。
そもそも適正体重などは、統計的に最も病気になりにくい体重のことを指すことが多く、決して健康で長生きができたり、健康寿命が最も長くなったりする体重である、とは言えないことがポイントです。
Q.なぜ、BMIは22が理想的な数値と言われるのですか?
A.1991年に発表されたある研究の影響が強いとされています。この研究では、30~59歳の日本人男女およそ5,000人の健康診断結果を踏まえて、10の医学的問題(疾患)が最も少ないのが、BMI22kg/m2と算出されたのです。
対象者(39~59歳)以外の年齢に同じことが当てはまるかは不明です。
また、10の医学的問題(疾患)に「がん」が含まれていませんでした。10の医学的問題(疾患)に該当する数がない、または少なくても、「がん」になって早期に亡くなってしまう人もいたとされます。つまりは、10の医学的問題(疾患)の数と死亡率が必ずしも相関していないということです。
Q.では私たちは、BMIの目標をどのように設定すればいいのですか?
A.最近は以下の2つを参考にすることが多いようです。
(1)2002年に発表された研究では、40~59歳の日本人男女およそ2万人ずつを10年間調査したところ、BMIが23~24.9の人たちが最も死亡率が低いということが分かりました。
(2)厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2015年版)」の中では、以下のような目標をもって、食事量や運動量を定めると良いとされています。この目標値のポイントは、年齢が上がるにつれて目標とするBMIの下限が上がっている、つまりは年齢が上がると“やせ”も健康を脅かすリスクになるということです。高齢になるに伴い、筋肉の量が減少していく現象を“サルコペニア”と呼ばれますが、このときも体重減少を認めることが多く、注意が必要です。
筆者は身長171cm、体重58kg、年齢41歳なので、適正体重=1.71(m)×1.71(m)×22≒64.3kg
BMI=58(kg)÷1.71(m)÷1.71(m)≒19.3kg/m2となり、[表1]を参考にすると、50歳までに今より体重を増やすことが一つの目標になります。ただし、ただ食べて脂肪が増えて太るのではなく、サルコペニア予防のためにも筋肉による体重増加が良いと考えられます。
[表1]
年齢・目標とするBMI:
・18~49歳…18.5~24.9
・50~64歳…20.0~24.9
・65~74歳…21.5~24.9
・75歳以上…21.5~24.9
(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)
●体重を測定する習慣を作り、適切な体重の維持が大切です。
▽やせ型だと…
・貧血
・骨粗しょう症
・低出生体重児出産
▽肥満型だと…
・糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
健診での体重の記録の振り返りを通じて、自分や家族の長期的な体重変化に気づくことができます。ぜひ健診を受けましょう。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>