■土器の厚みと調理法
今回は調理具としての土器を紹介します。
縄文時代の人々は肉や魚介類の他、入手しやすく栄養価の高い種実類(ドングリなど)を食べていたとされています。種実類の中にはアク(渋み)の強いものがあり、食べやすくするために水で長時間煮込むアク抜きが必要となりますが、初期の土器は、脆く割れやすいものばかりであったため、厚手で丈夫なものが作られるようになります。こうした特徴(大きさ・厚さ・色など)は、製作技術の向上(※)だけでなく、用途によっても大きく変化します。
大陸から稲作文化が伝来し、米が主食として定着してくると、炊飯するために熱効率を上げ、蓋をして土器内部をより高温にするなどの工夫が施されました。蓋の素材は、発掘調査などで発見されていないことから、植物の樹脂や葉、動物の皮革など土の中で分解される有機物が用いられていたと考えられています。
このように調理具である土器は、食文化の変化に伴って特徴が変化していきます。微妙な形の変化は、先人たちの様々な試行錯誤の痕跡といえるでしょう。
(※)第1回:「土器の色」と「火の温度」参照
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