■調理器具としての石器
今回は磨石(すりいし)・石皿と呼ばれ、縄文時代の食文化を考える手がかりとなる、現代の石臼(いしうす)のような石器を紹介します。
磨石は大人のこぶし大の大きさで、つるつるした平らな面と、凹んだ面があります。平らな面は種実類(しゅじつるい)(ドングリなど)を粉状にする「すり潰す」用途に使われ、凹んだ面は硬い殻をもつ堅果類(けんかるい)(クルミなど)を割ったり、大きな固まりを潰したりする「叩く」用途があります。叩く用途のみを有するものを敲石(たたきいし)と呼び、特に、石器の製作時に凹みを設け加工し、堅果類を固定し叩きやすくしたものを凹石(くぼみいし)と呼びます。
石皿は、安山岩(あんざんがん)などの表面がざらざらした20~40cmほどの平たい石の一部に、摩耗痕(まもうこん)が残っており、磨石や硬い殻によって、すり減ったり欠けた様子が見られます。
東北地方においては、これらの石器とともに種実類をこねて作ったクッキー状の炭化物も出土していることからも、調理具としての用途があったと推測されています。
今回紹介した石器は一見ただの石に見えますが、縄文人が加工し使った道具です。道端にある石ももしかしたら石器かもしれません。ぜひ、実物を見て、石器を探してみてください。
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