■冬の雲仙を彩る氷の“花”・霧氷(むひょう)
冬の雲仙の山々は、時に霧氷で白く光り輝きます。地元の人から「花ぼうろ」とも呼ばれている霧氷は、どのようにできるのでしょうか。
通常、水は0℃以下になると氷になりますが、雲をつくる雲粒はとても小さいため、0℃以下になっても凍らず、水のままでいます。水分を含んだ0℃以下の空気が小枝などにぶつかると、水分が一気に氷になり、枝にくっつきます。これが繰り返されると、風上側に向かって氷が薄い板のように伸びていきます。これが霧氷です。
霧氷は、でき方の違いによって、3つに分けられます。「粗氷(そひょう)」は、気温が0℃から氷点下4℃の範囲にある時にみられる、透明な霧氷です。「樹氷(じゅひょう)」は気温が氷点下数度から氷点下約10℃で、比較的風の強い時にみられる白っぽい霧氷です。樹氷は風上側に向かってどんどん成長し、雲仙では、大きなものは長さ20cmにもなります。「樹霜(じゅそう)」は氷点下7℃以下で、風が弱いときに見られます。ほとんど風がない状況では、樹霜は木の枝を取り囲むように丸く成長します。これが「花ぼうろ」に相当します。
雲仙の山々でこのように美しい霧氷が見られるのは、北から吹きつける季節風が東シナ海を通過してくる間に多くの水分を蓄え、この湿った冷たい季節風が標高1500m近い雲仙岳にぶつかることで、きれいな霧氷がつくり出されるためです。
季節風を伴う寒波が抜け、穏やかに晴れた日の朝は、きれいな霧氷が見られるチャンスです。この時期にしか味わえない幻想的な景色を眺めに、冬の雲仙に出かけてみてはいかがでしょうか。
■第65回「ジオ空(ぞら)教室」開催!
島原半島ユネスコ世界ジオパーク
~学術究成果発表会~
日時:2月24日(金)13時30分~16時30分(予定)
集合場所:がまだすドームセミナー室
参加費:無料(申込み不要)
発表者と内容:
(1)長崎大学 小嶋 紳介氏
イオン・溶存ガス分析と水素・酸素安定同位体比を基にした島原半島東部における水資源の起源推定
(2)長崎大学 服部 充氏
雲仙地域に生育するミヤマキリシマの固有性の検証
(3)山口大学 村田 丈治氏
古期雲仙火山の山体復元に向けて
(4)国立研究開発法人 産業技術総合研究所 岩橋 くるみ氏
新焼溶岩及び新期雲仙火山噴出物についての岩石学的研究について
問合せ先:島原半島ジオパーク協議会
【電話】65-5540
【E-mail】info@unzen-geopark.jp
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