◆帯状疱疹ワクチン接種について
・藤下内科医院 藤下幹夫(波佐見町)
新型コロナウイルスの感染が収まらない中、季節外れのインフルエンザも流行しています。そういった中、50歳以上の方の帯状疱疹ワクチンの予防接種の呼びかけが行われています。
帯状疱疹は小児の水ぼうそうと同じバリセラゾスターウイルス(以下VZV)によって引き起こされます。成人の9割以上の人が小児期に水ぼうそうに罹患しますが、そのウイルスは体内から消えることなく、神経節の中に留まり、帯状疱疹の発症の機会を窺がっています。新型コロナウイルスワクチンやインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンは、身体の外から侵入してくるウイルスや細菌に対して免疫を高め、発症を抑え、重症化を予防するものです。それに対し、帯状疱疹ワクチンは水ぼうそうの感染から時間がたち、加齢による免疫の低下や、癌などの悪性疾患、糖尿病などで免疫が低下したときに、神経節に潜んでいたウイルス(VZV)が活性化するのを抑えるものです。以前は小児の水ぼうそうが流行すると飛沫や空気感染でVZVを吸引しワクチンを打ったのと同様の効果が得られていましたが、2014年10月以降小児の水ぼうそうの定期接種が始まり、水ぼうそうの流行は無くなり、50歳以上の人の帯状疱疹の発症が増加しています。
症状としては体幹部では片側の肋間神経にそって痛みが走り、その後に発赤、水疱を作ります。顔面に起こると瞼が閉じなくなったり、口角が下がったり、味覚障害が起こる場合もあります。痛みは数カ月以上続く場合もあります。
帯状疱疹のワクチンには2種類あります。一つは小児の水ぼうそうと同じ生ワクチンです。発症予防は50から70%で、効果は8年程度です。1回の皮下注で終了です。もう一方は不活化ワクチンです。2カ月の間隔で2回、筋注を行います。効果は90%以上で10年以上続くとのことです。しかし、不活化ワクチンは高額です。従来の生ワクチンでも重症化や帯状疱疹後神経痛の予防にはなります。50歳から80歳までに3人に1人罹ると言われています。今一度帯状疱疹ワクチン接種をご検討ください。どちらを接種するかは掛かりつけの先生にご相談ください。
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