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健康一口メモ 453号

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長崎県波佐見町

◆心不全について
いちのせ内科循環器科 一瀬 和博

ここ数年、心不全の患者さんが急激に増加しています。心不全とはどういう病気なのでしょうか?
人の拳(こぶし)くらいの心臓は1日約10万回拍動を繰り返しています。心臓は重要な臓器で、血液を身体の末端から汲み上げ、血圧120mmHg(水柱を1.63メーター押し上げる圧に相当)位の力でまた全身に送り込みます。このポンプ機能が弱った状態が心不全です。
ポンプの力が弱まる原因は多数あります。高血圧、不整脈、心筋梗塞、心筋炎、心筋症、心臓弁膜症等です。ポンプの力が弱まると汲み上げ力不足になって、血液が戻りにくくなります。その結果、足、瞼の浮腫(むくみ)、肝臓の腫れ、胸水貯留、体重増加が出る様になってきます。更に進行すると肺からの血液も戻りづらくなり息苦しさ、呼吸困難、息切れが出るようになってきます。
どのような人が発症しやすいのでしょうか?
(心不全予備軍):高血圧症、不整脈、糖尿病、肥満、脂質異常症等の持病がある方、喫煙している方は是非気をつけて下さい。
治療はまず安静と塩分の制限です。塩分は人の身体に水分を留め置く作用があるので体液量が増え、心臓ポンプに負担をかけてしまいます。塩分を摂り過ぎないようにしましょう。次は薬物療法です。利尿剤は尿量を増やして体液量を減らしてくれます。さらに高血圧治療薬の中には収縮力を高めてくれる薬剤もあります。また、ある種の不整脈薬(β遮断薬)は逆に心臓に神経性の休息を与え、その結果心臓の収縮力が強くなります。心臓に過度の負担が加わると心臓には自ら利尿ペプチドという生理活性物質(BNP)を産生し心筋を保護しようとします。このBNPを長く作用させて心不全を治す薬剤も登場してきました。また、BNPは心不全の診断にも応用されています。ある糖尿病薬が心不全にも効果があると分かってきて、心不全治療目的に使用され始めました。
心不全にならないためには(1)規則正しい生活、過労を避ける、(2)塩分を控えた食生活、(3)禁煙、(4)高血圧などの持病をきちんと管理治療することです。
足や瞼が腫れたり、息切れ、夜間就寝中に息苦しさで眼が覚めたり、仕事中に息苦しさを感じたら是非医療機関を受診して心不全の兆候がないかどうか検査を受けて下さい。

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