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認知症特集〜9月はアルツハイマー月間〜

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長崎県波佐見町

◆認知症希望大使の丹野智文さん 来町‼
◇当事者から学ぶ「どんな波佐見町なら安心して認知症になれるのか」

7月29日、30日に、若年性認知症当事者で、認知症本人大使「希望大使」の丹野智文さんが来町されました。二日間に渡り、町内の医療・介護従事者や町民に向けた講話や、認知症当事者の皆さんと交流されました。忘れてしまうけれど、いろいろな工夫をしながら全国・世界を飛び回られている丹野さん。たくさんの気づきを教えていただきました。

○丹野 智文さん
認知症希望大使。ネッツトヨタ仙台でトップセールスマンとして活躍中の2013年(当時39歳)に若年性認知症と診断を受けた。
認知症当事者ネットワーク宮城代表、おれんじドア代表。映画「オレンジ・ランプ」のモデルで、2023年夏公開された。
丹野さんの書籍は地域包括支援センターにあるので、関心のある方は問い合わせを。

◇医療・介護従事者研修
波佐見町の方のケアに関わっている医療・介護従事者が集まり、丹野さんのお話を伺いました。最初は仕事が忙しすぎて体に不調をきたしていると思っていたこと、認知症の診断を受けたあと「わけが分からなくなって寝たきりになる」と思い込み人生が終わったと感じたこと、いきいき活躍する当事者との出会いで前向きになれたこと、工夫すれば普通に生活できること、などをお話しいただきました。
『認知症の方のため』という思いでお手伝いすることが、かえって認知症当事者の行動を制限してしまっていることに気付き、ハッとする気付きもありました。

◇当事者交流会
認知症当事者ネットワーク宮城やおれんじドア(当事者が開く物忘れ総合相談窓口)の代表をしている丹野さん。本町でも、おれんじドアのような当事者だけでの交流会を開いてくれました。
最初は「家族が傍についていないと座っておけない」と心配していましたが、会が始まると当事者同士で賑やかな笑い声が。付き添いの家族は家族同士で時間を過ごします。
「当事者だけで過ごす時間は大事。認知症であろうとなかろうと、相手の話を興味をもって聞けばお喋りに花が咲く。当事者同士の出会いが希望になる」と丹野さん。

◇町民向け研修会
最後は、お集まりいただいた約50名の町民と共に、「どんな波佐見町なら安心して認知症になれるのか」というテーマで講演と意見交換を行いました。
認知症は、誰もがいつかはなるもの。「認知症にはなりたくない」ではなく、『どうしたら安心してなれるのか』を考えるのが大切とお話いただきました。認知症になっても普通に暮らしていくためには、家族や周囲の人の理解がとても大切なので、元気なうちから周りの人との関係を大切にしておくこと、忘れても工夫ができるように、IT機器を使うことに慣れておくこと、認知症の人がやりたいことを諦めないで生活できる町を作ること、できる準備をしていこう、とお話いただきました。最後に参加者は、明日から自分にできること、こんな町になったらいいなというメッセージを花に書き、ツリーに温かい想いの花を咲かせました。

◇生活の工夫・ヒント
・希望を叶えるヘルプカード
丹野さんは現在もネッツトヨタの社員です。しかし、記憶障害や見当識障害から、会社に行くのに道に迷うことがあります。周りの人に道を尋ねると、「新手のナンパ?」と疑われたことも。そこで作ったのがヘルプカード。
「私は若年性認知症です。この場所に行きたいので教えてください」と書いたヘルプカードを提示することで、快く協力してもらえます。支援者が作るのではなく、当事者自身が作るのが大事。自分が持ちたいカードを作ることが大切です。

・アラーム機能を使う
記憶障害から、明日の予定を確認しても、分からなくなってしまうとのこと。そこで使うようになったのが、スマホのアラーム機能。起きる時間、薬を飲む時間、家を出発する時間、講演の時間・・・一日の日課をアラームで教えてもらいます。しかし、スマホから命令されているような気分になり、イラっとした丹野さんは、「起きる時間だよ〜」と柔らかい表現に変えて、登録しているそうです。

・失敗して工夫することが大事
「認知症の人には失敗させないことが大事」と思うと、家族や支援者は失敗させないように、認知症の人が行動することをやめさせてしまいます。しかし、周りの人がやってあげると、依存やうつを生み出します。うつと依存は認知症の症状ではなく、周りの関わりが生み出しているもの。失敗するから工夫して、成功体験を重ねることが大切です。認知症の進行予防に最も必要なのは『ストレスフリー』。当事者がストレスを感じず、いろんなことにチャレンジできる環境を作ること。これが、認知症の方が希望を持って生活できる環境であり、認知症の進行予防になります。

◇認知症の人が希望をもてる町に!
本町でも、認知症の正しい理解の啓発、認知症カフェ、家族会、認知症初期集中支援チーム、認知症相談、オレンジあんしん見守り体験(徘徊模擬訓練)など、当事者や家族が生活しやすい町にするために取り組んできました。しかし、町の皆さんが「認知症になっても大丈夫」と思えているでしょうか。まだまだだと思います。みんなで一緒に、安心して認知症になれる町を作っていきましょう。

問い合わせ:地域包括支援センター
【電話】85-2976

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