■命の危険が迫った状態になると約70%の人は希望を伝えられない
あなたは人生の最終段階をどこで、どのように過ごしたいですか?自分の想いを、家族や信頼できる人に話したことはありますか?
市の調査では、高齢者の約40%が人生の最期を自宅で迎えたいと考えています。しかし、令和4年の死亡場所別の調査(人口動態統計)では、自宅での死亡が約17%となっていて、希望と現実に大きな差があることが分かりました。
命の危険が迫った状態になると、約70%の人が医療やケアについて自分で決めたり、人に望みを伝えたりすることができなくなると言われています。元気なうちから、信頼できる人に自分の価値観や気持ちを話しておくことで、あなたの想いや希望が尊重されやすくなります。そして万が一の時、あなたの代わりに決断を迫られたかたの大切な助けとなります。
■11月30日は人生会議の日 もしもの時について話し合おう
もしものときのために、あなたが望む医療やケアのことを前もって考え、家族や大切な人、医療・介護に関わる人と繰り返し話し合うことを「人生会議(アドバンス・ケア・プランニングACP)」といいます。
誰でも、命に関わる大きなケガや病気をする可能性があります。もしもの時に自分がどう過ごしたいかを考えていないと、家族が悩んだり、自分が思う最期を迎えられなくなる場合もあります。事前に話し合っていれば、家族も「本当にこれで良かったのか」と悔やむことも少なくなり、「おじいちゃんがこう言っていたからこれでよかったね」と本人も家族も納得がいく最期を迎えられます。また、最期のことだけでなく、これまでの人生を振り返り、これからのあなたが自分らしく生きていくことについて考えるきっかけにもなります。人生会議では、「何を決めたか」ではなく、「どれだけたくさん話し合ったか」が大切です。話し合いを通してあなたの想いを伝えてください。
人生会議をするには、ハードルが高いと感じるかたもいます。相手のことを思いやるあまり話しが切り出しにくかったり、話をしてみても、うまく整理できなかったりする場合があります。
■死に関するタブーな話に思えて触れにくい
▽お悩み(1) 母に聞きたいのに
家族が本人の希望をかなえるために話をしようとすると、「縁起でもない話をするな」と本人を怒らせてしまう場合があります。しかし、人生会議は「死に関する縁起でもない話」ではなく、自分らしく生きるための話し合いです。事前に話し合うことができていれば、いざという時に、家族や信頼できるかたが代わりに決断するときの悩みや負担を軽くすることもできます。
■いざ話そうとしたときに家族の理解が得られない
▽お悩み(2) 娘に伝えたいのにお悩み
自分の中で考えをまとめて、いざ家族に想いを話そうとしたときに、「まだ元気なんだから」と取り合ってもらえないこともあります。しかし、元気な今だからこそ話をすることが大切です。自分の中で今は答えが出ていなくても、家族や親しいかたと話すことで希望や考えが整理できることもあります。また、一度決めても、気持ちが変わることはよくあります。想いを共有し合いましょう。
■年齢を問わず人生会議ができるように
市では、世代に関係なく人生会議を知ってもらうために、若い世代への啓発にも取り組んでいます。今年度から将来医療・介護に携わる職に就く大学生を対象に、人生会議の講義を行っています。
また、「元気なうちから手帳」を市内の医療機関、介護事業所、地域センターや公民館など身近な場所で受け取れるよう、設置場所を増やしています。自分の想いを紡ぎ、家族や医療・介護に関わるかたへつなぐ手帳です。手帳をきっかけに、自分らしく生きるための前向きな話し合いとして、気負うことなく人生会議をしてみませんか。
■元気なうちから手帳
自分のこれからの生き方や希望について、自分で考え、周りの人と話し合うためのきっかけづくりとなる手帳です。手帳には、「最期を過ごしたい場所はどこか」「延命治療を希望するか」など、もしもの時のことに加え、これまでの歩みを振り返ったり、どのように過ごしていきたいかなどを記入する項目があります。
問合わせ:地域包括ケアシステム推進室
【電話】829・1421
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