■長崎から世界へ 未来を担う若い世代の取り組み
◆Peace Education Lab
長崎に住む若い世代の人材育成と、長崎を訪れるかた向けの平和の体験学習に取り組んでいる、一般社団法人Peace Education Lab Nagasaki。核兵器のない平和な世界をつくる「Peace Maker(平和をつくる人)」を育むために、長崎の地域性を生かした平和学習プログラムを提供しています。
▽多様な価値観にふれるピースアカデミー
アカデミー参加者は起業家やフォトジャーナリスト、アーティストなどの講師の講義を受け、「自分を知り、世界を変える」を合言葉に3カ月間学びを深めます。卒業時には社会を変えるためのオリジナルのマイプロジェクトを企画。卒業後はそれを実現するためのサポートを受けることができ、「Peace Maker(平和をつくる人)」としての一歩を踏み出します。
▽旅行客の価値観を変える学習体験の提供
長崎の若者が観光客へ平和公園周辺の案内をする体験プログラム「Peace Park Tour」。被爆前の暮らしや、原爆による被害の特殊性、平和の発信拠点となった現在の長崎の様子を、長崎の若者が自分の思いを胸に案内します。「たった一人との出逢いで、人生は変わる」という思いが込められたこのプロジェクト。案内する若者自身もたくさんの出会いを経験して自分の活動の幅を広げることができます。
また、「平和の広告ワーク」では社会課題に興味を持ってもらうために、広告のプロが「伝える」ための視点や技術を教えます。オリジナルのキャッチコピーを作ることで学んだことを、家族や学校の人たちによりわかりやすく伝えることができます。
◆ナガサキ・ユース代表団
長崎大学・県・市で構成された「核兵器廃絶長崎連絡協議会」の人材育成プロジェクト。NPT再検討会議をはじめとする国際会議に、県内の大学生などを派遣しています。学生たちは核軍縮・不拡散のことを最前線で学び、その分野で活躍する方々と世界各地で交流。現在まで延べ101人が参加しました。
▽思いのままに平和のアクションを
ナガサキ・ユース代表団は長崎県内の大学生や同年代の若者から募集し、選考されます。核兵器問題に関心があり、日本語や英語で一定のコミュニケーションが取れることが必須です。任命後は勉強会を何度も開き、核問題の基礎から最新情勢、長崎の被爆の実相やその背景について幅広く学びます。全体での活動の他にも、一人ひとりが自分の興味や目標に沿ってオリジナルの平和の活動プランを立てて、実行できることが醍醐味です。
▽平和を創(つく)る若者のリーダーとして
今年活動するのは第12期生。7月22日から26日の間、スイスのジュネーブで「2026年NPT再検討会議第2回準備委員会」の会議を傍聴し、サイドイベントの開催などの活動を行いました。そこでは、国際機関やNGO、政府関係者と交流し、世界のリーダーが今の世界情勢をどう捉えているのかを直接学ぶことができました。
また、7月から全国の小中学生への出前講座も実施。活動の中で得た知識や思ったことを積極的に発信し、平和を創るリーダーとして活躍していきます。
◆他にもさまざまな団体が活動中
▽青少年ピースボランティア
15歳以上30歳未満なら誰でも参加できます。青少年が平和を学び、出前講座や平和関連イベントでのボランティアに取り組んでいます。
▽国際奉仕団体 長崎キワニスクラブ
「子どものために」を目的に活動しているボランティア団体。そこで活躍する若者を、8ページの「発見!トライ人」で詳しく紹介しています。
核兵器のない世界の実現に向けて、被爆者をはじめ若い世代もさまざまなことに取り組んでいます。
一方、昨今の世界情勢のなかで「核兵器の使用をタブー視する風潮」がどんどん弱まっていることに、被爆地は危機感を強めています。
核兵器が使われたら人間に何が起こるのか、想像してください。
まずは自分にできることから。被爆の実相を知って周りの人に伝えることから始めてみませんか。
長崎を世界で最後の被爆地にするために。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>