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INA輝き人ファイル No.54 北原 滋夫さん(76)

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長野県伊那市

きたはら・しげお(高遠町)高遠石工ガイドとして活動。おすすめの石仏は、建福寺(高遠町)の西国三十三所観世音菩薩。三十三番の「十一面観世音菩薩」の微笑が気になるそうです。
南アルプスジオパークのガイドもしており、幅広い知識でガイドを展開。高遠石工ガイドのガイド依頼は、伊那市観光協会(【電話】96-8100)まで。

■高遠の石仏は第一級の芸術
「高遠石工が彫った石仏は世界にも通じる芸術」。北原さんはその魅力を語ります。
「とにかく勉強しました」と北原さん。これまで興味をもったことは積極的に学んできました。小学校から高校卒業まで伊那市で暮らした北原さんは、関西にある大学を出て、大阪で就職をしました。奈良に住んでいた頃もお寺や仏様を身近に感じ、歴史の勉強をして、奈良検定にも合格しました。退職後に奥さんの実家のある高遠町藤沢に住むようになり、田んぼや畑も作っています。農業の経験はありませんでしたが、とにかく勉強して無農薬でお米を作り、知人にも食べてもらい、喜んでもらえたそうです。勉強や探求の成果をいかして人に喜んでもらうことは高遠石工ガイドになっても変わりません。
ガイドを始めたきっかけは、友人に誘われて高遠石工研究センターに入ったこと。最初から関心があったわけではありませんが、石工を研究してきた方々からお話を聞く中で、だんだんと石仏や石工のすばらしさがわかってきたそうです。今は石仏の魅力を伝える側として、特に高遠石工の最高峰である守屋貞治の石仏の柔らかさや優美さなどの芸術性をガイドの際のポイントにしています。
「貞治の石仏は、見る人に迫ってくるような精神性が感じられ、すごいとしか言いようがない。仏教の教えからくる精神性は、諏訪の温泉寺の願王和尚から影響を受けている。お香を焚き、お経を唱えながら、石を刻み、仏様を彫った貞治の芸術も、それまで百年以上にわたって高遠石工という集団が築き上げてきた技術の中で育った」と石仏の背景にあるストーリーを語ってくれます。
「高遠石工ガイドとして卵かひよこの段階」と謙遜しながら、さらなる研鑽を続ける北原さん。ガイドをやっていて一番嬉しいことは「ガイドを聞いて石仏を見る目が変わった」という反応を聞くこと。案内した高遠小学校の児童たちが目を輝かせて高遠石工の学習をする姿にも感化されたそうです。「文化度が高い」高遠の地で、人々に石工の魅力を伝えながら、自らの人生をさらに充実させていきます。

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