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自治体の皆さまへ

信州大学医学部健康推進講座

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長野県長和町

文責:
・信州大学医学部健康推進学講座 助教 小林浩幸
・国保依田窪病院副院長 兼信州大学医学部健康推進学講座 特任教授 城下智

長和町では、町民皆様の健康増進を目的として、令和3年6月より20歳以上の全町民の方を対象に町民ドックや依田窪病院外来受診時の血液検査の残りを用いて、ウイルス性肝炎と肝硬変の有無を調べる検査を行っております。検査費用は無料です(検査結果により受診する場合は健康保険での診療になります。)。これまでに、保健センターで行う町民ドックと依田窪病院健康管理センターでの健診、依田窪病院へ定期受診をされている方3012人(令和5年9月30日現在)に検査が行われています。
令和5年6月以降、休日の肝炎検査を行っておりましたが、10月28日(病院祭)にて計画していた休日検査は終了となります。多くの町民、とりわけ青壮年の方に検査を受けていただきました。月曜~金曜日(祝日等を除く)の平日の検査は、今まで通り13時~16時まで依田窪病院で行っておりますので、検査を受けていない方は受検をご検討ください。
先月号までは肝疾患の三大自覚症状についてお話をさせていいただきました。
今月号は、「サルコペニア」についてお話させていただきます。「サルコペニア」はなじみのない言葉かもしれませんが、医療の世界では重要な問題となっております。サルコペニアは加齢に伴う筋肉の減少のことをいい、Sarx(=サークス:筋肉)とPenia(=ぺニア:減少)というギリシャ語を組み合わせた造語です。サルコペニアは65歳以上の高齢者とくに、75歳以上になると急激に増加し、高齢者の6-12%を占めるといわれています。サルコペニアがどうして問題となるかというと、
(1)日常生活が困難となる、
(2)転倒や骨折の可能性が高くなる、
(3)肺炎など感染症にかかりやすくなる、
(4)(3)の病気により死亡する可能性が高くなる
ことなどが証明されてきております。簡単な確認法として「指輪っかテスト」(図1)がありますので試してみてください。
肝疾患患者では特にサルコペニアが多いといわれています。通常、食事で得たエネルギーは肝臓で蓄えられますが、肝硬変など肝機能が低下しているとエネルギーを蓄えることができません。そのため、日常生活で必要なエネルギーが不足しがちになります。体は不足してしまうエネルギーを筋肉などを分解することで供給します。その結果、筋肉量が減少することでサルコペニアを来すと考えられています(図2)。肝疾患に伴うサルコペニアの治療法は特殊なアミノ酸製剤の補充や運動療法が有効とされていますが、確立した治療法はまだありません。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれ肝臓の病気にかかっていても無症状なことが多く、かなり進行するまでは自覚症状はありません。また、通常の健診では肝炎検査は行われておらず、御自身の健康確認のためにも、一度検査を受けていただきますようお願いします。
※図1・図2については、本紙またはPDF版を参照してください。

問合せ:こども・健康推進課健康づくり係
【電話】68・3494

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