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39医療機関
伊東市医師会では、さまざまな事業を通じて地域住民が病気になった際にも安心な医療が受けられるよう、また、地域住民が常に健康管理を行えるように「連携・協調・協働」の下、伊東市の医療体制を整えています。今回は、高齢者が安心して地域で暮らせるよう医師会が進めている在宅医療への取組を紹介します。
■連携・協調・協働による在宅医療
◆在宅医療とは?
在宅医療とは、自宅で医療介護を受けられるもので、昔でいう「往診」です。現代の在宅医療は、医師の診察治療だけでなく、看護師や訪問ヘルパーたちも参加し、身の回りのお世話などの介護保険制度を一緒に受けることにより、医療と介護の包括的なサービスを提供します。
◆在宅医療が必要な理由とは?
その理由は、少子高齢化による国の社会保障費の削減が挙げられます。医療費は年間50兆円以上もかかっていますので、少しでも健康で、できるだけ入院を避けて自宅で過ごしてもらう必要があり、熱海伊東医療圏を含め、日本中の地域において入院病床の配分が検討されています。例えば、図1のように、病床機能分化といった病床再編が行われ、心筋梗塞などの命に係わる重篤な疾患の患者は高度急性期病床(熱海伊東医療圏では順天堂大学医学部附属静岡病院)を、直ちに命には危険はないが、骨折したり、脳梗塞で倒れたり、肺炎になったり、急に体調を崩して入院が必要になった患者は急性期病床(熱海伊東医療圏では伊東市民病院や国際医療福祉大学熱海病院)を利用することになります。最近では、体調が良くなるとすぐに退院を勧められ、脳梗塞や大腿骨骨折後に2週間もすると病院が変わる経験をした人もいると思います。この病床の役割分担では、急性期医療が必要なくなった安定期に入ると、回復期病床や慢性期病床といった、医療よりリハビリ治療や病気の療養に特化した病院(療養型病院)に移る必要がありますが、これらの病床数が徐々に減少している現状があります。
そのため、医療の必要性が低減すると退院し、在宅で医療及び介護を受けることとなります。これが在宅医療の役割で、令和7年には在宅医療を受ける患者の数が現在の1.5倍に増えると予想されています。
※図は、本紙3面をご覧ください。
◆在宅医療を実現するためには?
高齢者の場合、全身が衰弱するフレイル(フレイルについては、7Pで詳しく説明しています。)や認知症の進行により、必要な医療の度合いが減少し、介護の必要度が増加します。老化に伴って、病気を「治す」という医療より、介護や身の回りの「お世話」が求められる状況が増え、特に入院医療の必要性が低下します。
図2のように、年齢とともに体の機能が低下し、フレイルが進行します。体の機能を若い頃のレベルに戻すことはできません。徐々にフレイルが進行すれば、医療の必要性よりも入浴やトイレなど身の回りのお世話が必要となります。最後は、患者の意思に従い、尊厳のある穏やかな死を迎えられるように医療介護が連携し対応することが重要です。
在宅医療の実現には、医師や看護師などの医療関係者と、ケアマネジャーや介護ヘルパーなどの介護関係者の連携が必要です。かかりつけ医が医療介護の連携を図り患者の住み慣れた我が家で、医療介護を受けられるようにします。特に、体調が悪くなり入院した後、退院する際には、多職種が参加して患者の情報を共有し、切れ目のない医療と介護が行われるよう、現在ではICT(情報通信技術)を使用して情報の共有を行っています。
図2:介護予防での医療と介護の必要量変化
◆伊東市の現状
「ときどき入院 ほぼ在宅」という在宅医療の実現のために、「シズケア*かけはし」というICTツールを用いた医療介護の連携が行われています。これは、県医師会が開発した在宅医療介護連携推進のICTプログラムで、医師、看護師、薬剤師などの医療従事者を始め、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどの介護事業所など、医療や介護に携わる多職種が患者の情報を共有するためのものです。
本市では、このシステムの導入を積極的に推奨し、その結果、県内での利用率がトップクラスとなっています。医療機関、伊東市民病院はもちろんのこと、かかりつけ機能を有する診療所や訪問看護ステーション、地域包括支援センターなど、合計92施設がこのシステムに参加しています。登録患者数は671人に達し(令和5年3月末現在)、個人情報の同意を得た上で、皆さんの医療情報、介護に必要な日常生活の様子、家族構成などの情報を共有することで、より安心して在宅生活を過ごせるよう努めています。
伊東市医師会会長 山本佳洋
◆在宅医療支援診療所
伊東市医師会は、各地区に在宅医療の中心となる、かかりつけ機能を有し、24時間365日の在宅医療を推進する在宅医療支援診療所を配置しています。
▽宇佐美
山本医院
▽市街地
・はぁとふる内科・泌尿器科 川奈
・横山医院
▽伊豆高原・八幡野
・伊豆高原クリニック
・はぁとふる内科・泌尿器科 伊豆高原
・メディカルはば伊豆高原
問合せ:(一社)伊東市医師会事務局
住所:大原1丁目6-20
【電話】37-8925
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