世界遺産や国宝があり、昨年大河ドラマの舞台にもなった伊豆の国市の歴史や文化財が、どれほどすごいものかご存じですか?
今月の文化財通信では、先史時代から現代までの伊豆の国「史」をまとめました。
■文化財の宝庫・伊豆の国
文化財は、長い歴史の中で生まれ、成長し、守り伝えられてきた、人類共有の財産です。人は文化財に触れて、先人たちの歴史を感じ、学び、現在と向き合い、未来を切り開くことができます。
文化財保護法の中で文化財は、「有形文化財」「無形文化財」「民俗文化財」「記念物」「文化的景観」「伝統的建造物群」に分類されていますが、「記念物」のうち歴史的価値が高い集落跡や城跡、古墳などは史跡と呼ばれ、特に貴重なものは「国指定史跡」「特別史跡」となります。また、昔の建築物や美術品などの「有形文化財」のうち、世界文化の見地から特に価値の高いものが「国宝」で、文化財の中でも、人類が共有すべき顕著な普遍的価値をもつものとしてユネスコが登録したものが「世界遺産」です。
人口4万6千人、面積95平方キロメートルしかない小さな伊豆の国市には、6つの「国指定史跡」、1つの「国宝」、1つの「世界遺産」がひしめいています。これは、近隣市町では群を抜いて多く、人口60万人以上の大都市と比べても、決してひけをとらない数です。(上グラフ参照)私たちの伊豆の国市が文化財の宝庫であるという事実は、さまざまな時代において、この地が歴史の重要な舞台となったことを裏付けているのです。
■眠り続ける重要文化財
それら貴重な文化財を市民の皆さんにお見せするため、縄文時代の土器などは現在、中央図書館2階の郷土資料館(本紙写真)で展示・公開されていますが、展示スペースは極めて狭いため、皆さんが見られるのは、ほんの一部にすぎません。同じ中央図書館の地下には特別収蔵室があり、国の重要有形民俗文化財に指定された弥生時代の山木遺跡の生産・生活用具(木製品など全239点)を保管しています。これらは、静岡市の登呂遺跡に勝るとも劣らない貴重な文化財であるにもかかわらず、現在、非公開のまま保管されています。これらを市民の皆さんに見ていただき、1700年以上前、この地に暮らした人々の生活に思いをはせていただきたいのですが、展示スペースが足りないだけでなく、木製品展示に必要な温湿度の調整機能を備えていないため、やむを得ず公開を断念しているという現状です。しかし、文化財保護法では、文化財の所有者は、保存とともに「できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない」とされています。市は、公費によって発掘調査や研究を行い、その後の保存の措置などを講じてきた成果を、市民の皆さんに公開を通じて還元しなくてはならないのです。
■新しい文化財展示施設を
これらの文化財を公開する施設は、ただ広い展示スペースや温湿度の調整機能を備えるだけでなく、児童・生徒による地域学習(史跡巡り)や市内外からの一般客の来訪・周遊との連動性も考える必要があります。
そこで、市では、より多くの人たちが訪れやすい場所に、新しい文化財展示施設(以下、新施設)の整備を計画しています。次のページでは、その計画についてご説明します。
〔「さまざまな時代の伊豆の国市文化財」については本紙またはPDF版をご覧ください〕
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