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自治体の皆さまへ

市政羅針盤(らしんばん)

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静岡県島田市

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:公共施設等の総合管理とこのまちの未来を見据えて

■公共施設の現状と自治体の課題
本市が保有する公共施設などは、高度経済成長期以降に集中して整備された施設が多く、その半数以上が建築後30年以上経過し、近い将来、大規模改修や建替えなどが必要になっています。今後、これらの公共施設などが一斉に更新時期を迎えるにあたり、少子高齢化や厳しい財政状況を踏まえながら、どのように維持・管理し、適正配置につなげていけばよいのか。市民の皆さまに実態を知っていただきたいと思い、今月のテーマといたします。
学校や病院といった公共施設などの多くは、1950年代後半以降の高度経済成長期に集中して整備されました(道路や橋りょうなどの「インフラ」も同様)。それから数十年が経過し、公共施設などの多くが大規模改修や建替えといった『更新』が必要な時期を迎えつつあり、多額の出費が予想されています。さらにこれらの施設は建築時期が集中しているため、当然、更新時期も集中することになります。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、日本は、今後半世紀にわたり人口減少が続きます。公共施設などは総人口の増加に合わせて整備されてきました。今後、人口減少に伴い、公共施設など全体に対するニーズが減少し、保有量が過剰な状況になると考えられます。国や自治体はこれを戦略的に解消しなければなりません。

■社会の変化と未来を見据えた連携
さらに、世界でも有数の高齢社会となっている日本は、医療・介護・福祉など(民生費)に係る費用が急激に増大しています。本市の場合、令和6年度一般会計予算に占める民生費の割合は35.4%(147億7,450万円)であり、年々上昇しています。一方で、生産年齢人口が減少していくという経済活動の基盤から見ても、全ての施設の更新経費をねん出できる財政状況にないというのが一般的な見解であります。公共施設など行政サービスは、税金で賄われていることから、それらの多くを求めることはその分税金の負担が増えることでもあります。次世代に過度な負担を強いることなく、ニーズに見合った行政サービスを将来にわたり安定的に提供し続けることが必要です。こうした状況を踏まえ、本市では「公共施設等総合管理計画」をまとめ、公共施設の現状や課題を「見える化」しています。
(1)10年後には、建築後30年以上となる施設が全体の7割にのぼること
(2)合併前に整備した集会施設が、他地域と比較して突出している地域があること
(3)利用者がほとんどいない文化施設における利用者1人当たりの公費の多さ
(4)民有地に整備された施設に支払われている賃借料の多さ
(5)現在の公共施設を今後40年間維持・更新していくために必要な費用と、現在、公共施設に充てている費用との差額が年間15億円以上になること(今後約40年間で600億円)
将来的にこれらの課題を解決するためには、公共施設などの長寿命化を図りつつ、質・量の両面で適正化を図ったうえで、毎年度の管理費の適正化に取り組む必要があります。さらには、民間の活力を活かすことも大事で、すでに保守管理や定期的な巡回点検・軽微な修繕を民間に行ってもらう「公共施設包括管理業務委託」や道路、公園などの街灯のLED化などを民間と連携して進めています。

■本市が目指す今後の取り組み
このように、公共施設などの総合管理計画を着実に遂行していくとともに、一方で、人口減少と地域経済縮小の負のスパイラルに陥ることなく、地域資源を最大限活用して「稼ぐ力」や「地域価値」の向上を図ることも必要です。本市の「稼ぐ力」を育むことで、まちのにぎわいや活気を生み出し、民間投資の喚起や所得・雇用の増加などにつなげることだと考えています。そのためには、行政のみならず、地域住民や地元企業、まちづくり会社、商店街などの民間団体が自ら考え取り組み、それぞれの役割を担いながら連携していかなければなりません。理念だけでは結果はついて来ません。
老朽化が深刻だった島田市立総合医療センター、市役所庁舎、島田第四・第一小学校などの大規模事業が一段落しましたので、今後は企業誘致、観光、移住・定住、ふるさと納税など「稼ぐまち」を実感していただけるよう、民間団体・事業者とも連携して意欲と熱意をもってまい進してまいります。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117

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