■川根の桜を守り、仲間と共に新たな生きがいを得る
川根のソメイヨシノを守る会 会長
藁科 博(わらしなひろし)さん(川根町家山)
春になると、市内外から見物客が訪れる川根町家山の桜トンネルや緑地公園。地域の桜(ソメイヨシノ)を守るため、藁科さんをはじめとした「川根のソメイヨシノを守る会」の皆さんは、毎年秋から春にかけて、桜を守る活動を行っています。
▽第二の人生の幕開け
川根のソメイヨシノを守る会の活動を始めて今年で6年目を迎える藁科さん。志を持った当時を振り返ります。
「家山で生まれ育ち、定年までは名古屋でサラリーマンとして働きました。現役時代は街にいたことで、自然豊かな地元への郷土愛がより強くなったように思います。退職後に地元に帰ると、桜の木の老齢化や枯れが目立ち、手入れがされていないことに気付きました。自分が子どもの頃には、ひな人形を飾る時期と桜の開花が重なっていた楽しい思い出があります。子どもの時に親しんだ自然を守りたいと思い、平成30年7月に会を立ち上げました」
▽地元の名所を守りたい
「初期メンバーは3人で『若い人たちが鯉のぼりや天王山(てんのうやま)の活動を頑張っているんだから、自分たち退職後の世代も頑張ろう』と、活動を始めました。初めは手入れの方法も全く知らなかったので、専門家を招き現場を見ながら勉強しました。川根にある約1500本の桜は、ほとんどが「ソメイヨシノ」。寿命が約60年〜100年と短いのが特徴です。他の桜と比べ「てんぐ巣病」という伝染病にかかりやすく、これにかかると花が咲かなくなってしまいます。会では桜を守るため、病気になった木や台風で折れた木を処分したり、新しく植えたりしています。昨年からは、川根小・中学校の入学・卒業式に合わせて記念植樹も始めています」
▽ふるさとへの恩返し
「現在は、70歳代前後の12人で活動を行っています。枝の剪定(せんてい)など高所での作業もありますが、手の届く範囲を安全第一で取り組んでいます。活動の甲斐もあり、桜もだんだんきれいになってきていますよ。今後は人手が足りれば、梅など他の樹木にもチャレンジしたいと考えています。家山には梅園がありますが、こちらもボランティアの高齢化が進み、斜面での手入れが大変と聞きます。桜を守る会でも会員を増やしつつ、今後も新しいことを、楽しんでいきたいですね。
また、他市のボランティア団体とも交流してみたいので、市外への視察を考えています。これからも、一緒に頑張ってきた仲間と共に、『ふるさとへの恩返し』につながるような活動を続けていきたいです」
藁科さんは、さまざまな活動を通して、家山の自然を仲間と共に守り続けます。温かな気持ちを受けて育った桜たちは、今年も多くの人を和ませてくれそうです。
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