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自治体の皆さまへ

市政羅針盤(らしんばん)

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静岡県島田市

染谷絹代(そめやきぬよ)市長が自ら、市政運営の方針を分かりやすくお伝えします。
今月のテーマ:令和6年度の待機児童数と保育施設の将来展望

■待機児童の現状と原因
今年度、本市では4月1日現在8人の待機児童(保育施設に入所を希望し、入所条件は満たしているが入所できていない子ども数)が発生してしまいました。保育士不足がその最大の原因です。今月は、本市の保育を取り巻く実態と課題、今後の見通しについて、ご説明したいと思います。

■本市の子育て支援政策と現状
こども・子育て支援を政策の柱に掲げ10年前に「こども未来部」を創設以来、本市は保育施設の拡充に力を注いできました。具体的には、この10年間で保育施設数を17か所から30か所に増やし、定員も1,702人から令和2年度には2,114人まで増やしました。さまざまな施策が功を奏し、昨年までの直近3年間は待機児童ゼロを達成しています。一方、地域によっては、少子化の影響を受けて定員を段階的に100人減らし40人とした保育施設もあり、今年度の市内定員数は2,057人となっています。待機児童が出る地域がある一方で、定員に満たない保育施設が出ていることも知っていただきたいです。
地区別では、「旧島田」「六合」「初倉」の保育需要が高止まりしています。特に六合地区では、子育て世代の割合が他地区に比べて高く、待機児童が増える傾向にあります。また、保育士不足を理由に定員いっぱいまで受け入れられない保育園が出ていて、これが待機児童を生む最大の要因になっています。

■保育士の需要拡大と課題
では、なぜ保育士が不足するのでしょうか。第一に、保育施設入所希望者の低年齢化が挙げられます。現在、保育士一人が受け持てる園児数は、0歳児の場合3人まで、1・2歳児は6人、3歳児15人、4・5歳児25人となっています。育休明けに子どもを預ける場合、0~2歳児で入所を希望する子どもが多く、保育士数が足りずに受け入れができないのです。わかりやすく説明しますと、4・5歳児クラスなら一人の保育士で25人まで受け持つことができますが、1・2歳児を25人預かるには最低5人の保育士が必要となります。今年度待機児童となった8人も、年齢別にみると1歳児5人、2歳児3人となっていることからもその傾向がうかがえます。
また、発達に支援を要する子どもが増えていて、そうした子どものために支援員が必要であり、保育士不足に拍車がかかっています。さらには、一昨年、牧之原市で園バスに取り残された園児が熱中症で死亡した事故のように、保育士の責任が追及される事案が増え、保育士の資格はあっても保育士として働くことを選択しない人も増えています。さらに、保育士の処遇改善が進まないため、他業種に比べて給与が低いことも大きな問題です。

■課題解決と保育所の展望
こうした課題を改善するには、保育の現場での「量の拡大から質の向上への転換」が重要と考えます。実際、保育施設によって保育士の定着率に大きな差があり、保育士が長く勤務する施設とそうでない施設では、保護者からの評判にも差が出てしまいます。保護者からだけでなく、働く保育士からも選ばれる保育・幼児教育施設であり続ける経営・施設づくりが重要になっています。現在は待機児童の発生が課題となっていますが、このまま少子化が続けば、近い将来、保育施設も生き残りをかけた時代になっていくでしょう。
こうした中、こども家庭庁は、今後の取り組み方針に「保育所等の多機能化を進める」ことを挙げています。その一つが、令和8年度から本格実施される「こども誰でも通園制度(仮称)」です。保護者の就労を問わず、未就園児を預かることで、保育所などが地域での子育て支援の拠点としての役割を担っていくことになります。この「保育所等の多機能化」は人材の確保・経営などの課題も含めて、今後、行政にとっても保育施設にとっても大きなキーワードになっていくと感じています。
将来的に少子化が進み、市内民間保育施設の需要に余裕が出るようになれば、第一・第三の公立保育園を再編し、主に発達に支援を要する子どもたちを受け入れる保育園として特化することも選択肢として考えられます。公立保育園の役割も時代とともに変化していきます。

問合せ:秘書課
【電話】36-7117

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