■学びを記す
学んだり、活動に参加したりすることの次に大切なことは、「やりっぱなしにしない」こと。学びを記すことで、自分の成長具合を確認したり、理想像への計画を立てやすくなったりします。
《tool 3》おまえざき学びのパスポート
「おまえざき学びのパスポート(以下、「パスポート」)」は、取り組んだ学びや参加した活動を記録する日記のようなものです。
パスポートは、1冊で30回分の学びを記録できるほか、目標と振り返りも記入することができます。進み具合や成果を見える化でき、自分がどれほど成長できたのか具体的に確認することができます。モチベーションも維持でき、次のステップに向けた計画も立てやすくなります。
また、1冊修了したことを社会教育課に届け出ると認定証が交付されます。学びを振り返る楽しさもあるパスポートを活用してみてください。
・おまえざき学び認定証
了ごとに交付される認定証は、御前崎のさまざまな写真を使用しており、思わず集めたくなります
・おまえざき学びのパスポート詳細はこちら
※二次元コードは広報紙をご覧ください。
◆学びが記録として目に見えると自信につながります
学びのパスポート活用者 平岡 正行さん・さと江さん(大山)
正行:私たちが学びを記録するようになったのは2年前。ふと手にした生涯学習ガイドブックで見つけた自主講座「太極拳」を夫婦で受講した際に紹介されて書き始めました。
さと江:二胡(にこ)や朗読会など週2~3回ほど学びの機会があり、約3カ月で1冊が修了するペースです。過去には手話サークルやパソコン教室などにも参加していました。外に出掛けていろいろな人と交流するのが楽しいんです。
正行:太極拳のほかギターをやったり英語教室にも通ったりしています。英語教室をきっかけに御前崎港での外国客船寄港イベントの通訳ボランティアにも参加しましたよ。外国人を相手に実践ができて楽しかったです。パスポートに学習記録を残すことで、自分の学びが目に見える形で残るから自信につながりますね。
さと江:二胡を人前で発表するのは恥ずかしさや緊張がありますが、喜んでもらえるからうれしいし、励みになります。
正行:学びを自分の中だけで留めてしまうと成長に限界があると思います。披露したり、伝えたりすることでまた一歩成長につながるんじゃないかな。学びのパスポートには、自分の学びを振り返る楽しさもありますよ。
正行さんは6冊目、さと江さんは9冊目のパスポートに学びをしたためている。
■Message of expert
~「生涯学習」を難しく考える必要はありません きっとすでに取り組んでいるものです~
静岡大学地域創造教育センター 阿部 耕也 特任教授
(2020年から御前崎市生涯学習アドバイザーを務め、学びの航海図の作成などに携わる。)
▽生涯学習は生きがいのきっかけ
人生に充実感や生きがいを感じられるかどうかには、生涯学習が大きな役割を果たします。仕事や子育てが忙しいときは、それ自体が生きがいとなっているかもしれません。しかし、別の生きがいを持っていれば、また違った人生展開となるはずです。
「生涯学習」という言葉に壁を感じてしまう人もいるかもしれませんが、難しく考える必要はありません。中には、無意識のうちに取り組んでいる人もいます。生涯学習はそのくらい気楽なものでいいんですよ。
そこに御前崎市独自の3つのツールを加えると、学びがより深くなります。ぜひ一度使ってみてください。
▽航海図とパスポートをリンクさせる
学びのパスポートは他自治体にもある取り組みですが、人生を考えるツールである「学びの航海図」は他にない画期的な取り組みだと思います。将来の方向性を考えたり、振り返ったりすることは、日々に自分なりの意義を見出すために必要な過程です。
理想は、子どもから大人まで市民全員が自分の航海図を持ち、人生の移り変わりとともに書き記していくことですね。人生は順風満帆なときだけではありません。嵐のときや座礁するときもあるでしょう。立ち止まってしまったときにどう歩み直すか、学び直すかが大事ですが、そこが難しいところです。そんなときは交流会などに参加して、いろいろな人と航海図を見ながら交流し、アドバイスやヒントをもらったり、人の航海図に共感し合ったりすることも良いでしょう。各場面で自分にとっての道しるべを見つけることができ、視野や選択肢が広がることにつながりますよ。「こういう道もあるんだよ」と伝え合えるところも航海図の魅力のひとつです。
パスポートは、航海図とリンクさせるとより効果的です。例えば、「5年前は今と違う関心があったんだな。なぜだろう」と航海図を見て、「こんな状況だったからだ」と振り返ることもまた、日々を見つめ直すきっかけになります。パスポート修了と同時に、その時の感情や出来事を航海図に書き記し、改めて考えてみましょう。
◆取材を通して
本特集では、学びの航海図や生涯学習ガイドブック、学びのパスポートの3つのツールを軸に、学びが私たちにもたらしてくれるものについて考えました。
今回、生涯学習に取り組む大勢の人を取材しました。全員が自分の学びについて笑顔で楽しそうに話してくれ、とても生き生きとしていました。日常の中で、自分たちのペースで学びを楽しんでいる姿からは、「学びが暮らしの一部になっている」ことがひしひしと伝わってきました。
学ぶことは特別なことではありません。誰がなんのために学ぶのかは人それぞれで、一つとして同じものはありません。全ての学びや経験が人それぞれの個性であり、大切な宝物です。
市では、生涯学習を通じて、市民の皆さんが日々に生きがいややりがいを持てる地盤を整えています。3つのツールを活用して学びに取り組み、日常を豊かにしませんか?
【特集】学びで潤う私の日常人生の宝物を探す航海に出よう
終
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