◆最適な避難行動は
~原則は「徒歩避難」~
火山性地震などの噴火の兆候が現れた段階で、市からの呼び掛けに応じて、自宅や知人宅、あるいは宿泊施設などの、避難所以外の安全な場所に自主的に避難してください。
その後、噴火に至った場合、溶岩の流下パターンから避難が必要とされた地域の人は、市の指示に従って、最寄りの避難所へ避難を開始します。
溶岩流は、市街地のような傾斜が緩やかな場所では流下速度が低下するため、徒歩でも避難が可能な時間的余裕が出来ます。
車による交通渋滞を避けるために、避難行動要支援者を除く市民は、避難所まで徒歩で避難してください。
◆「命と暮らし」を守る避難を実現するために
(水口 光夫 危機管理監)
避難計画の骨子について、市の防災の陣頭指揮を執る水口危機管理監に話を聞きました。
○市の地形的な特徴を生かす
分水嶺の影響により、西は桜公園、東はアウトレット、南は南学校給食センターで囲まれた、中心市街地を含む「デルタ地域」のエリアが、溶岩流が流れてこない安全な避難先となることが新たに分かりました。
これまでの避難計画では、全市民が市外へ広域避難することを前提としていましたが、この「デルタ地域」により、市内の避難地・避難所の選択肢が大きく広がりました。
○命と暮らしを守る
溶岩の流下パターンを特定し、避難対象地域を絞ることにより、避難が必要となる市民を少なくするとともに、市内に避難場所を確保することで、可能な限り普段どおりの生活を送れるような、負担をかけない避難計画としました。
また、災害から生き残った大切な命を守るため、自分や家族だけでは避難できない高齢者や障害者などの避難行動要支援者に対し、市内の宿泊施設や近隣への避難を実施することにより、避難生活の負担の軽減を図り「災害関連死ゼロ」を目指していきます。
○避難する際に必要なことは
噴火により、小石や火山灰が降ってくるおそれがあります。手袋、ヘルメット、長袖の服などで身を守るとともに、灰を吸い込まないようにマスクやゴーグルを着けましょう。
また、噴煙の影響で昼間でも外は暗くなるため、懐中電灯なども必要です。同報無線などの情報をもとに、慌てず落ち着いて避難しましょう。
◎計画をもとに、避難行動の検証作業はこれからも続く。
◆市民一人ひとりがすべき備えは
《Check 1》地域で備える
▽防災訓練
市では定期的に、富士山噴火を想定したモデル区訓練を、自主防災会など関係機関と連携して実施しています。 地域で一体となり、災害を想定した実働訓練を行うことで、避難方法や情報伝達の流れ、必要な備えなどを確認できます。 また、火山防災マップ(ハザードマップ)で、各地域の溶岩流の到達時間や、避難場所などを確認しておくことも大切です。
《Check 2》家庭で備える
▽ローリングストック
大きな災害が起きると物流が止まり、スーパーやコンビニでは食品が手に入りにくくなります。 ライフラインの復旧まで時間が掛かるため、最低でも3日分、できれば1週間分の食品を備蓄することが重要です。
◆大切なことは
富士山のような観測が充実した火山では、噴火の前兆的な活動を観測できる可能性は高いとされています。
しかし、正確な噴火予報は技術的に難しく、火口の位置を噴火前に特定することは困難です。
防災を考える上で、噴火予測など技術面での対策が重要なのはもちろんですが、それ以上に、市民一人ひとりが日頃から危機意識をもち、事前の備えをすることが大切です。
市は、「いのちを守るための避難を最優先し、くらしを守るための避難についても可能な限り配慮した計画」をテーマに今回の避難計画を策定しました。
このテーマを実効性のあるものにするためには、行政だけが一人歩きするのではなく、市民の皆さんの協力が必要不可欠です。
防災訓練への参加や、ローリングストック、火山灰への備えなど、「いま」できることをしっかり行い、「そのとき」に備えていきましょう。
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