「河津平安の仏像展示館」に展示されている仏像・神像26体が、令和6年3月15日に開催された国の文化審議会で、重要文化財に指定することについて、文部科学大臣に答申されました。この夏に官報告示を経て正式に指定される予定です。今回国指定されない残欠群17体についても文化財保護の観点から町の有形文化財に指定する予定です。今回はそんな町の貴重な文化財の歴史と魅力を伝えます。
■新たに国の重要文化財へ
今回、国指定重要文化財になるのは、谷津地区にある「河津平安の仏像展示館」(以下、仏像展示館)に展示されている薬師如来坐像など26体の仏像・神像です。
■南禅寺から伝わる
南禅寺(那蘭陀寺)は、奈良時代の西暦749年に行基によって今の谷津地区に創立されたと言われています。しかし、山津波(土砂崩れ)が発生し、お堂も仏像群も埋没してしまいました。その後、地域の人が埋没した仏像を掘り起こし、今の南禅寺に26体の仏像が納められたと伝えられています。地域の人によって大切に守られてきた仏像は、2013年に、仏像展示館へ納められ、一般公開されるようになりました。
■奈良・平安時代の仏像
さまざまな学術調査によって、仏像群のほとんどは平安時代に造られたとみられ、十一面観音像は、さらに遡り奈良時代に造られたとみられています。仏像展示館には、文化価値の高い貴重な文化財が並んでいます。
■Pick Up 重要文化財になる仏像の中でも特に魅力的な仏像!
▽薬師如来坐像(やくしにょらいざぞう)
南禅寺の本尊で一木造。平安時代前期に造られたとみられ、近隣の県でも少数の仏像で東海や関東の古代史を考えるうえでも重要な文化財。左手に薬の入った壺を持っているので、薬師如来だとわかる。
▽地蔵菩薩立像(じぞうぼさつりゅうぞう)
平安時代中期に造られたとみられる。木造の地蔵像では東海地方最古の像。苦しむ人々を救済するといわれている。子どもたちの守り仏でもあり、多くの人に親しまれてきた。
▽十一面観音立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)
南禅寺でいちばん古い仏像で、奈良時代に造られたとみられる。全体に華やかな装飾がある。人々をあらゆる危難から救い、さまざまな願いを聞き届ける慈悲の仏様。
▽天部形立像(てんぶがたりゅうぞう)
平安時代前期に造られたとみられる一対の像で、仏を守るために武具を付けている。日本木彫展が海外で開催されたときに展示され、ギリシャ彫刻のようだと絶賛された。
■国指定重要文化財とは
■河津平安の仏像展示館
場所:河津町谷津138番地
時間:10時~16時
定休日:火・水・木曜日、年末年始
入館料:
小中学生 100円
高校生以上 700円
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