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〔小泉八雲没後120周年特集〕焼津を愛した小泉八雲とは

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静岡県焼津市

小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が没して120周年を迎えます。八雲の生涯をたどると共に、その著作と焼津との関わりを紹介します。

■小泉八雲の生涯
▼八雲の生い立ち
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、1850年6月27日、ギリシャのレフカダ島で生まれました。父はアイルランド出身のイギリス人、母はギリシャ人で、ハーン自身はイギリスの国籍を保有していました。その後、父の実家のあるアイルランドに移りますが、母は異国の文化になじめず、幼いハーンを置いてギリシャへ帰ってしまいます。両親の離婚後、ハーンは大叔母に引き取られ、イギリスの学校に入学。16歳の時、遊戯中の事故で左眼を失明。さらに、17歳の時に大叔母が破産し、そこからさすらいの人生が始まります。

▼日本に来るまで
1869年にハーンは新天地を求め、渡米します。貧しい生活に苦しみながらも勉学に励み、やがて新聞記者として活躍。センセーショナルな記事が話題を呼び、記者として名を上げます。記者として働きながらも、『飛花落葉集(ひからくようしゅう)』『中国怪談集』などの異国の怪談作品集や、クレオールの言葉や料理を取材した『ゴンボ・ゼーブ』『クレオール料理』などの自著を発表しました。1877年に開催されたニューオーリンズ産業綿花百年記念万国博覧会で、日本文化に触れたことが、ハーンと日本を結ぶ重要な契機となりました。

▼日本での活躍
1890年にハーンは記者として来日しますが、早々に出版社との契約を破棄します。職を失ったハーンは知人からの紹介で、島根県松江市に英語教師として赴任します。松江で小泉セツと結婚し、ハーンは初めて温かな家庭を得ます。その後、熊本で教師をし、神戸で新聞記者となります。1896年、45歳で日本に帰化して「小泉八雲」と改名しました。晩年は東京へ移り、大学で英文学の講師として教壇に立ちました。日本時代の八雲は、教師や記者として働く傍ら、熱心に日本の取材に当たり、計13冊の日本に関する著作を発表しました。1904年9月26日、八雲は東京(西大久保)の地で54歳の生涯に幕を閉じます。

▼八雲の作品
著作家として八雲は多くの作品を遺しました。それらは翻訳、小説、ルポルタージュ、エッセイ、再話怪談と多岐に及びますが、日本時代の八雲は、ルポルタージュと再話怪談を多く手がけています。焼津滞在中も執筆のための取材は怠らず、その成果は、焼津を舞台とした「焼津にて」「海辺」「漂流」「乙吉のだるま」の他、焼津の地でインスピレーションを得て記した「夜光幻想」「餓鬼」などの作品として結実しました。

▼『怪談』出版120年
八雲没年に出版された『怪談』には、「耳なし芳一」や「雪女」など、日本でよく知られた八雲の怪談が収録されています。日本語が読めなかった八雲は、妻・セツが語る怪談話を聞いて物語を理解し、そこに自身の西洋的な文学アイデアを織り交ぜながら英語で再話し、作品を紡いでいきました。『怪談』は、八雲が生んだ怪談集の中の最高峰と称されています。今年はそんな『怪談』が出版されてから120年の節目を迎えました。

■小泉八雲と焼津
▼焼津の海に魅せられて
八雲とその家族が初めて焼津を訪れたのは1897年8月4日のことです。水泳の得意な八雲は、夏休みを海で過ごそうと丁度良い海岸を探していました。八雲一行はまず舞阪(浜松市)の海を訪れましたが、遠浅の海は水泳に適さないと気に入りませんでした。その後、水泳に適した海を探した八雲は、焼津の深くて荒い海を大層気に入りました。これ以降、海岸通りの魚屋・山口(やまぐち)乙吉(おときち)の家の2階を借り、亡くなるまでほとんどの夏を焼津で過ごしました。
普段はひたすら机に向かって執筆活動に専念していた八雲ですが、焼津では水泳をするか、浴衣で散歩をし、焼津の人々と触れ合って、のんびりと楽しい時間を過ごしました。また、長男の一雄(かずお)に英語や水泳を教えたり、お祭りを眺めて大喜びしたりと、家族を持つ父親として過ごしていました。
八雲は焼津での体験をつづった「焼津にて」や「乙吉のだるま」、焼津を舞台にした作品「漂流」などの数々を作品として残しています。

▼山口乙吉との思い出
八雲が焼津を訪れるようになったのは、焼津の海が気に入ったほか、夏の間滞在していた家で魚屋を営む山口乙吉との出会いも大きな理由でした。純粋で、開けっ広げで、正直者、そんな焼津の気質を象徴するような乙吉を八雲は“神様のような人”と語っていました。
乙吉は八雲を“先生さま”と呼び、八雲は乙吉を“乙吉さーま”と心から親しく呼んでいました。

■第33回企画展示会 不終(おわらず)の怪談-怪談に魅入(みい)られた文豪たち-
小泉八雲、泉鏡花、江戸川乱歩、中島敦の怪談文学に焦点を当てて紹介します。会期中DMM GAMES(ゲームズ)「文豪とアルケミスト」とのタイアップ企画として実施します。
会期:l0/5(土)~令和7年1/28(火)
時間:9:00~17:00

問合せ:焼津小泉八雲記念館
【電話】620-0022

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