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現代に息づく香川の伝統工芸

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香川県

■生活の中に「手まり」を
◯讃岐かがり手まり
江戸時代に、お姫さまの玩具としてつくられていた「手まり」。当時は、県内でも讃岐三白の一つである木綿の糸を使った手まりが盛んに作られていましたが、機械化やゴムまりの登場により、次第に作り手も減っていきました。
昔ながらの手まりづくりの技法を復活させ、「讃岐かがり手まり」と命名したのが、元県職員で讃岐民芸館の開設に尽力した荒木計雄(あらきかずお)さんと妻の八重子(やえこ)さん。「義母が手まりをつくる時に用意している色とりどりの糸の美しさに、目を見張りました」と、義娘の荒木永子(えいこ)さん。現在「讃岐かがり手まり保存会」の代表として二人の遺志を受け継いでいます。
「芯にもみ殻を使った土台まりに、草や木など自然の染料で染めた木綿の糸を使って、一つ一つ思いを込めて手でかがっています」と昔ながらの素材や技法を大切にしながら、新しい感覚や表現を取り入れた新たな作品も生み出しています。「芯に天然香原料を加えた『にほひ手まり』は、日本古来よりある香を楽しむ風習を今のくらしに取り入れたいと作りました」と永子さん。他にも現代絵画や人気ブランドのスニーカーをイメージした作品など、発想は無限に広がっています。
気軽に手に取れるストラップや小さな手まりも人気で、かがわ物産館「栗林庵」でも買うことができます。「自分が本当に素敵だなと思う感覚を大事にして、今の生活を豊かにするような手まりを作っていきたい」と語る永子さん。手まりがもっと身近な存在になってほしいと願っています。

・熟練の技で小さくつくられたストラップ
・芯に天然香原料を加えた「にほひ手まり」

■海外、アート進化続ける
◯讃岐のり染
香川県は、全国でも有数の「獅子舞王国」。獅子舞がかぶる色鮮やかな油単(ゆたん)には、「讃岐のり染」の技が詰まっています。伝統工芸士の大川原誠人(おおかわはらまこと)さんは、創業から200年以上続く大川原染色本舗の7代目で、油単をはじめ、お祭りのはっぴやのぼり、うどん店ののれんなど、地域に密着した染め物を手掛けています。
讃岐のり染で最も重要な工程が「のり置き」。紙の筒袋に入れたのりを絞り出して描く「筒書き」の技法を用いて、輪郭などの染め残したい部分にのりを置き、染料が混ざり合うのを防ぎます。「獅子舞の油単の柄は細かくて複雑。のり置きや色差しでは繊細な作業が求められます。そのおかげで他の地方ののり染めと比較して讃岐のり染は、熟練した技術が必要とされます」と大川原さん。太さや長さの違う細かな線によって、温かみのある、味わい深い染め物に仕上げます。
先代が大学で染を教えるために渡米したことで、讃岐のり染が世界で評価されていることを知った大川原さん。後を継ぐために芸大に進学。卒業後は仕事の傍ら、のり染の美術作品を美術館で展示するなどアーティストとしての活動を続けています。最近はデザイン性を重視する客が増えているため、大川原さんから提案することもあると言います。
今後の目標の一つは「香川の獅子舞文化を盛り上げ、次の世代に伝える」こと。油単の柄の一部を使い、トートバッグやハンカチを展開しています。さらに、ドット柄や大川原さんがデザインしたものなどのバリエーションも。独自の発展を遂げた讃岐のり染は、さらなる進化を続けています。

・獅子舞の油単の柄の一部を切り取って作ったトートバッグ
・現代アートの美術作品から生まれたデザイン
・ドット柄も展開

問い合わせ先:県産品振興課
【電話】087-832-3386

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