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No.191博物館だより 田んぼのカエル

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高知県越知町

宮の前公園のまわりの田んぼには、多くのカエルが住んでいます。昼間、鳥に襲われないように身を隠していたカエルたちは、日が暮れると姿を現し、大合唱を始めます。鳴いているのは雄だけ。カエルの鳴き声は、雄が雌に呼びかけるラブコールなのです。雄ガエルたちは小さな体を震わせて大声で鳴き、雌を呼びます。雌たちは、自分が気に入った鳴き声の雄に近づき、ペアになり、間もなく産卵をします。
宮の前公園のまわりで見ることができるカエルたちを紹介します。
田んぼに水が入ると最初にやってくるのがシュレーゲルアオガエルです。体はきれいな黄緑色です。ふだんは林の中で暮らし、卵を産む時だけ田んぼに集まってきます。カスタネットのようなすんだ声で「ころろ、ころろ」と雌を呼びます。ペアになった雄と雌は、力を合わせてあぜに穴を掘ってその中にソフトクリームのような白い泡に包まれた卵を産み、丁寧に埋めてしまいます。
続いて、ニホンアマガエルです。雨が降りそうになると鳴き出すので「雨蛙」という名前が付いています。シュレーゲルアオガエルとよく似ていますが、ニホンアマガエルには目の周りに黒いアイラインがあるので、簡単に見分けることができます。体の色を変えることが得意で、葉っぱの上にいるときはきれいな黄緑色、暗い所や石の上などにいるときは灰色に変わり、大きな黒い模様も付きます。
ジャンプ力が強いカエル、トノサマガエルです。雄と雌では体の色が違っていて、雄は緑色、雌は灰色で、両方とも黒っぽい丸い模様があります。カエルになっても、水辺から離れずに暮らします。田んぼのあぜを歩いていて、足元から飛び出すのがこのカエルです。おどろくと水の中に飛び込みますが、すぐに同じところに戻ってきます。自分の居場所を決めているのですね。
ヌマガエルです。このカエルもオタマジャクシからカエルになっても、水辺から離れずに暮らします。泥の中や、稲刈りが終わった田んぼに残されている稲束の下に隠れています。夜になると姿を現し、ノドをハート型に膨らませて大きな声で鳴きます。灰色の体にこげ茶色の模様があり、お腹は真っ白なカエルです。上から見ると、目と目をつなぐ帯のような模様があるのが特徴です。このカエルのオタマジャクシは水温が42℃くらいまであがっても平気です。42℃というと、みなさんが入るお風呂と同じくらいの熱さです。
最後はツチガエルです。梅雨の頃から声が聞こえはじめ、秋風が吹く頃までの長い期間、鳴き続けるカエルです。こげ茶色の背中に小さなイボイボがたくさんあることから、イボガエルと呼ばれるときもあります。いじめると体からスイカが腐ったようなくさい臭いを出して、身を守ります。梅雨のころに生まれた卵からかえったオタマジャクシは秋にはカエルになりますが、9月頃に生まれた卵からかえったオタマジャクシは、そのまま冬を水中ですごし、次の春にカエルになって陸に上がってきます。高知県で冬に3~4cmくらいのオタマジャクシを見つけたら、それはツチガエルです。
横倉山自然の森博物館学芸員 谷地森秀二

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