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~豊かな自然や里山文化を活かした緑水湖周辺エリアの再生復活~ 緑水湖周辺のにぎわいづくり2

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鳥取県南部町

■展望台を35年前の景観に戻そうプロジェクト
国道180号線を通ると目に入る「緑水湖展望駐車場」の看板。その展望台は管理がされないまま、人々から忘れ去られていました。1枚の写真をきっかけに、「この景観を取り戻そう」と動いた人たちがいます。

完成当初は緑水湖を一望できたであろう展望台。「定常(さだつね)さつき園」と名前が付けられたこの場所は、長い間使われることなく、ひっそりと時を刻んできました。春にはきれいな花を咲かせていただろう藤棚や、名前にもなっているサツキの木、湖面の近くに立つ立派な東屋。あたり一面は大量の草木に覆われ、緑水湖の眺望や花を楽しめる場所ではありませんでした。
今年開催した緑水湖周辺活性化会議の中で取り上げられ、「展望台を35年前の景観に戻そうプロジェクト」が動き始めます。地域の方に声を掛けたところ、周辺の騂牛・赤谷集落に住む方を中心に7名の有志が集いました。うち6名の方が集まった11月23日、チェーンソーなどを使用し、公園全体の草木を刈る作業を行いました。12月3日には町内外からボランティアを募り、11名で草集め・清掃作業を行い、見違えるほどの景観となりました。
「公園を知らなかった」という方が多かったものの、中には「花見に行っていた」「弁当をもってピクニックに行ったことがある」という方もあり、参加者それぞれの想いが詰まった作業となりました。

プロジェクトの中心となったのは、株式会社緑水園代表取締役の林原敏夫さんと南さいはく地域振興協議会会長の井上仁志さん。
ダム建設当時は地元におらず、この展望台も知らなかったという二人ですが、このプロジェクトには並々ならぬ想いをもって取り組む姿がありました。

井上:プロジェクトのきっかけの一つは、緑水湖周辺エリアのマップ作りでした。
林原:「緑水湖展望駐車場」という場所があるのに、〝展望〞がどこなのか知っている人がいなかったんです。いろいろな人に聞いてみるうちに、駐車場の奥の公園に東屋があり、この場所が展望台だと分かりました。
井上:同じ頃に、南さいはく地域振興協議会で「南さいはく六十年の想い出写真展」を開催しました。
林原:集まった写真の中から、平成元年頃に撮影された、展望台の写真が出てきたんです。今の姿からは想像できない光景に、「これはやってみるべき」だと思いました。写真を見なければ、プロジェクトは思いつかなかった。写真に残る姿は、強力なモチベーションでした。プロジェクトをやってみようと決まってから、声掛けをして有志を集めました。最初はみんな半信半疑で、作業も数日では出来ないと思っていました。でもやってみたら、1日でひととおり刈れて、大山まで見えるようになりました。
井上:最初は東屋まで到達するのも大変な程の草木で、清掃する前と比べると、見違えるほどきれいになってびっくりしました。桜やサツキが咲く時期にはすごくきれいな景色が広がる様子が想像できて、みんなが喜ぶ姿が目に浮かんだ程でした。
林原:国道の看板を見て、通りかかった人にも立ち寄ってもらえるような場所になって欲しいと思います。もしかしたら展望台からダイヤモンド大山も見れるかもしれない。地元の方々にも喜んでもらえると嬉しいですね。
井上:この展望台は正式には「定常さつき園」という名前。〝定常〞は、緑水湖が出来る前にあった集落名です。昔の地図を見ると、他にも緑水湖周辺に近隣の集落名がついた公園がたくさんあるんですよ。「賀祥さくら園」、「入蔵つつじ園」など。「信頼(のぶより)やまぶき園」の〝信頼〞も、かつての集落名です。
林原:今は無い2つの集落名が残されている公園を大切に残していくことで、この地に住んでいた方に懐かしんでもらって、故郷を想う気持ちが子や孫に受け継がれていってほしいと思います。
井上:集落の名前を残すために付けられた公園の名前は、今後エリアマップにも入れて残していきたいですね。

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