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自治体の皆さまへ

まちづくりに新しい風 ~外部人材と取り組む地域活性化~(1)

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鳥取県南部町

南部町を盛り上げようと、町外から来町し、まちづくりに取り組む方々がいます。
そのひとつとしてご紹介するのが、「地域活性化起業人」。これまでに2名の方が着任し、専門知識を活かしてまちづくり施策へのアドバイスや企画立案を行っています。
また、南部町の地方創生の取り組みを学びながら研修を行っているのが、JICA(ジャイカ)海外協力隊派遣前訓練(グローカルプログラム)実習生の皆さん。3か月弱という短い期間でありながら、実習先が抱える課題と、その解決策を提案し、その後の協力隊活動に活かされています。
外部人材を受け入れることで、それぞれが持つ経験やノウハウと、″外〞から南部町を見る視点を、まちづくりに取り入れることが出来ています。そして地域の方々との交流が生まれることで、関係人口の増加にも繋がっています。

■新しい風×JICA実習
グローカルプログラムでは、JICA海外協力隊として任国へ派遣される前に、地域活性化、地方創生に取り組む自治体で研修を行います。協力隊活動の訓練の場でもあり、海外での活動に向けた実務経験や知見を得ることが期待される研修です。
南部町は今回で8回目の受け入れです。5月から7月にかけて4名の実習生が訪れ、初めて高姫地区の″えん処明神谷(みやじだに)〞を拠点に活動しています。高姫地区を中心に地域の方々と交流を重ねながら、それぞれの研修先で課題解決に向けた取り組みを行っています。

○田中鏡介(たなかきょうすけ)さん
派遣国:ドミニカ共和国
職種:環境教育
出身地:高知県
研修先:スポnetなんぶ
運動施設で様々なスポーツが行われている様子を見て、南部町民の運動意識の高さを感じ、研修先にスポnetなんぶを選びました。総合福祉センターいこい荘の施設稼働率が低いという課題を聞き、いつどの施設の稼働率が低いのか現状分析し、いこい荘を活用したイベントの企画提案を行っています。
例えば、調理室の利用が少ないことから思いついた企画は「ピザ窯作りandピザ焼き具材早切りコンテスト」。親子で施設を利用し、かつ料理にスポーツ性を持たせました。今後は、提案した企画が実習終了後も継続して取り組まれる仕組みづくりを行っていきます。
また、以前にも協力隊としてエクアドルに派遣されていた経験から、自主活動として小中学校でスペイン語教室を開催しました。子どもたちは教室で学んだスペイン語を使って、エクアドルの方との会話も楽しみました。

○板華子(いたはなこ)さん
派遣国:コロンビア
職種:ソーシャルワーカー
出身地:南部町
研修先:JOCA南部
活動目標の一つは、法勝寺温泉別館での活動を体験する機会を作ること。4月に子ども第三の居場所としてオープンしましたが利用登録者がなく、来所も小学生が中心です。しかし、学校に通うことが出来ない子どもの現状から、中学生を対象とした活動の必要性を感じました。まずは別館を認知してもらうため、スペイン語教室やメキシコ料理づくりなど、足を運ぶきっかけ作りに取り組みます。
二つ目は、JOCA南部の配食サービス利用者を増やすこと。必要としている方へ情報を届けるためのパンフレット作成や、地域の方に実際に弁当を食べてもらうふれあい昼食会を企画しています。
また、高姫の歴史を掘り起こそうと、交流の中で写真を集めて、えん処明神谷(みやじだに)に展示しようと計画しています。
南部町出身の板さんは、「地元への感謝を胸に活動を進めていきたい」と語ります。

○瀧川唯(たきがわゆい)さん
派遣国:モンゴル
職種:障がい児・者支援
出身地:千葉県
研修先:役場産業課 JOCA南部
産業課が抱える課題は、「新規就農者を増やす」こと。高姫地区に柿農家が多いことや、町内には次の世代に繋げられていない柿農家もあることに着目し、「農業をしていない方が興味を持つきっかけになるものを作りたい」と、柿の作業ガイド作りに取り組んでいます。
栽培ごよみなどとは違い、これから柿づくりをやってみたいと思った人が気軽に情報収集できる読み物を目指し、生産者の苦労や楽しみ、高姫でされている栽培の工夫など地域柄も盛り込みたいと考えました。3軒の農家協力のもと、摘蕾(てきらい)作業などの手伝いを継続して行ってきました。同じ柿の栽培でも、3者3様のこだわりがあり、工夫されていることに気付きました。
また、障がい福祉事業に取り組むJOCA南部でも研修を行い、農業と福祉の連携についての施策も提案を行う予定です。

○中山夢乃(なかやまゆめの)さん
派遣国:ラオス
職種:バレーボール(指導)
出身地:兵庫県
研修先:なんぶ里山デザイン機構
研修先から「えん処明神谷(みやじだに)を拠点に高姫地区に溶け込み、地域の方の思いを聞いてほしい」という要請を受け、門名マップ作成とえん処明神谷(みやじだに)の活性化に取り組んでいます。南部町では、日常的に門名(屋号)で呼び合う集落が多くあります。高姫地区は「岡田」「雜賀」の苗字が多く、門名で呼び分けていました。
地域に溶け込むきっかけを作ろうと、田植えや、100歳体操、いきいきサロンなど地域のイベントへの参加や、えん処明神谷(みやじだに)に地域の方を招いて交流会を開催しました。また庭の草抜きや梅の収穫など、地域の方の手伝いで一緒に作業をすることで交流を深めました。
はじめの頃は門名や由来を聞くだけになってしまっていましたが、関わりの中で気づいた「マップをツールに高姫の方と関わり溶け込む」という目的をしっかり持って今後も取り組みたいと考えています。

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