■ウラムラサキ
◇紫色は食べられる?
2018年9月23日、鍋倉の森へ行きました。数日前に雨が降り林床も湿り気を帯びて、晴れた本日はきのこ日和。さっそく様々な種類が目に入ってきました。テングタケの仲間に、ドクツルタケ類、オオワライタケと、そこではよく見るメンバーですが、食用には適さない種類ばかり。「食べられるコがいたらいいなぁ」と足を進めると、紫色のきのこを見つけました。「紫のきのこは食べられる種類が多いよ」と以前どこかで聞いたお話が頭に浮かびます。確かに、ムラサキシメジもムラサキヤマドリタケも食用です。ここは連れて帰って調べようと、自生環境を撮影し、丁寧に掘り出しました。その時、周囲を確認し同じ種類のきのこが複数あることを目視して採り過ぎにならないよう注意します。
◇にゅうめんの具に!
帰宅する道中、偶然きのこに詳しい仲間に会って、実物を見てもらいウラムラサキと教えてもらいました。その場で可食であることも知り、迷わず調理コースを選ぶことに。まずはウラムラサキを軽く塩茹でにしました。アメシストのような美しい色は少し色褪せましたが、にゅうめんに乗せると素麺の白さと対比する彩りが目も楽しませます。麺と一緒に一口頂くと、「あら!美味しい!」。意外と食べごたえがあり、えぐみも臭みもなく食材として合格。食したことがある生き物がまたひとつ増えて、またウラムラサキに出会うのが楽しみとなりました。
◇里山の恵みだけど!
毎回の注意喚起ですが、植物の実やきのこなどの里地里山の恵みは、分からない種類は安易に手を出さないよう気をつけましょう。そして、野外の散策は、滑落、転倒、脱輪、イノシシ、ハチ、ダニ、ヒル、アブ、ムカデなどの遭遇といった危険な環境でもあります。さらには多くの場合私有地なので、許可なく入れない場所が殆どです。管理者の方や区長さんなどにお声かけをしたり、生き物関係のリスク対策をしたり、動植物の識別に関心を持つなどの心構えを忘れずに、里山の恩恵を楽しみましょう。
自然観察指導員 桐原真希
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