これまで立切遺跡に関して重要なポイントを紹介してきましたが、今回は立切遺跡のもう一つの重要ポイントについてお伝えします。立切遺跡は、国道58号を跨いで東西に位置しており、世界最古の落とし穴群は国道下の大津保畑地区と国道より西側の今平・清水地区に配置されていることが分かりました。国道付近は、後期旧石器時代当時は谷地形であり、水源地が近いことからも動物の水飲み場があったと考えられます。また、石器等の出土がなく落とし穴以外の遺構も発見されていないことから、狩りの場であった可能性が指摘されています。
一方で、国道より東側の立切地区においては、火を使った痕跡である「焼土跡」や石蒸し料理の痕跡である「礫群」が多く発見されているほか、植物質加工具・伐採具としての石器類が多数出土しています。これらの発見は、この区域は当時の人々が食生活を営む場であった可能性を示すと同時に、一定の期間その場に定着していた可能性も示唆しています。従来の考古学では、旧石器時代の遺跡においては住居跡が発見されないことから、獲物を追って転々と移動しながら生活していたとされてきました。しかし、立切遺跡での焼土跡や礫群の発見により、その定説は覆されることとなりました。このことから、立切遺跡は世界最古且つ当時最先端な狩猟方法であった落とし穴、火を使った一定期間の定着を示す焼土跡・礫群、植物質食料の加工・伐採具である石器類の発見から、後期旧石器時代初め頃の狩猟と生活の両方の様相を示す大変貴重な遺跡といえるのです。立切遺跡についての紹介はこれで最後としますが、町内には立切遺跡以外にも重要な遺跡が多くあります。これらの遺跡についても随時紹介していければと思います。(社会教育課文化財係)
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