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資料館だより(533号)

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鹿児島県中種子町

■種子島の民話。時代の潮流。
皆さんは、子投げ潮、アリの宮城、などの民話を聞いたことがありますか?いずれも中種子町の民話であり、テレビのまんが日本昔話でアニメにもなって放映されていたりします。
一昔前であれば、古老から伝承を受けて知るはずの地域の民話が、全国放送のテレビや、インターネットの参考文献で知る時代になっているのはまさに時代の流れだなあと感じていたのですが、では全国規模になるにあたって何が変わったのかと疑問に思い、原作となる下野敏見先生著の「種子島の民話(未来社)」を拝読、またインターネットで検索してみました。
結果、原本では種子島弁であったものが変わっている、また哀愁・哀惜に重きを置かれていたお話が、訓話、説話的なお話になっているようです。
原作では、こういったことがあったから子投げ潮となりました。というお話から、ルールを守らないとこうなりますよ。といったお話に変化しており、世に広く伝えるためには、何らかの意図が入り、元となるものから変化していくのだなと感じられました。広く一般に受けいれられるための工夫と、元のものをそのまま残す努力というのは、いつになっても難しい課題ですが、守るべきものは守り、時代に応じて変えなければならない点は厭わずに実施する。そのように努めていきたいものです。
(町文化財保護審議会 大山 要)

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