令和6年は八島太郎没後30年にあたります。
八島太郎はふるさと、南大隅町根占を舞台にした「からすたろう」をはじめとする数々のすばらしい絵本を描きました。
7月28日、八島太郎の生誕地、南大隅町で没後30年事業が開催されました。
■ワークショップ
○絵本「道草いっぱい」の道すじを訪ねる文学散歩
子どもたちのために生み出された、絵本の中から「道草いっぱい」の原風景を訪ねる文学散歩。
八島太郎が母校神山小学校からの帰り道、いつものように道草をしながら帰ったコースの一つ「加治町通り」を散策しました。参加者は作品で描かれている畳店や理容店などを訪問。八島太郎の幼少時代や絵本「からすたろう」の登場人物のモデルとなった実在した教員に関する説明を興味深く聞いていました。
○成人読書グループ「うのはな会」のおもてなし
道草いっぱい散策のあとは、八島太郎の生家跡近くの針馬場公民館において「うのはな会」の皆さんが手作り「こんにゃく」と郷土菓子「いこもち」を振る舞ってくださいました。
■八島太郎コレクション「世界の民芸品展」
ワークショップが終わると根占図書館2階の南大隅町歴史民俗資料室で、八島太郎が子どもたちのためにと収集した世界の人形や絵画など「八島太郎コレクション」を鑑賞しました。
■講演会
○「子どもたちに伝えたい 八島太郎・絵本の中のふるさと」
午後からは、講師に池水聖子さん(一般財団法人鹿児島県青年会館理事・鹿児島大学非常勤講師)を迎えて、「子どもたちに伝えたい八島太郎・絵本の中のふるさと」と題した講演会を開催。町内はもとより、県内外から約130人の八島太郎ファンの皆さんが参加しました。
池水さんは2007年に「ようこそぼくが愛したふるさとへーからすたろう」の講演会の中で鹿児島の青年層に八島太郎という存在をはじめて伝えられ、その後、「地域再発見のための読書活動」を中心に鹿児島の地域に根ざした読書活動に取り組んでおられます。
講演では、八島太郎が画家を目指し渡米、その後、世界的絵本作家としての地位を築く過程、太郎の絵本が日本の絵本文化に与えた影響、絵本に対する太郎の思いや絵本を通して子どもたちへ伝えたかったこと、ふるさと南大隅への想いなどについて話されました。また、八島太郎と石井桃子や瀬田貞二との新たな関係性についての話もあり、参加者は初めて聞く内容に興味深く聴き入っていました。
※講演会終了後質問コーナーにて
(本紙をご覧ください)
◆展示へのご協力ありがとうございました
○水彩画「お正月」(1971年作)
鹿屋市在住の方から寄贈していただきました。
○パステル画「芽」(1970年作)
人気脚本家の故・橋田壽賀子さんが所有していた物で、脚本を手掛けたNHK連続テレビ小説「おしん」に影響を与えたとされる絵。雪の中で春の喜びを見つめる子どもの姿はドラマ「おしん」そのもので、膨らみかけた芽をみながら待ちこがれる春に思いを寄せる子どもを描いています。絵は、カメラマンとして橋田さんと世界中を旅した川田万里さん(東京都在住)が譲り受け、展示に協力してくださいました。
■ご参加いただいた皆さんからの声
・八島太郎は本当に郷土の誇るべき人でした。(60代)
・ぜひともこのようなイベントの定期開催をお願いします。(50代)
・八島太郎さんと62年前お会いして話をしたこと大変懐かしく思い出されました。(80代)
・地元に興味がもてました。(9歳)
・小さな頃から八島太郎のことは知っていました。今日改めて孫たちにもっと深く教えなければと思いました。(70代)
・これからも引き続き八島太郎を発信してほしい。(50代)
皆さん、ありがとうございました。
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