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Medical Lecture 健康教室

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鹿児島県 指宿市

■陰口の科学~なぜ悪口陰口を言わない方が良いのか~
◇Doctor 今月のドクター
指宿医師会
竹元 隆英(たけもとたかひで)

「見ざる聞かざる言わざる」…栃木県の日光東照宮で見ることができる目・耳・口を両手でふさいだ3匹の猿の彫刻が有名で、元々は子育てをする親へのメッセージだそうです。他人の欠点や短所を見ない・聞かない・言わない。これさえ守っていれば人との争いはしなくても済むということわざで、逆に言えば他人の悪口陰口を言うと争い事になるということです。
それでも人はなぜ悪口陰口を言ってしまうのでしょうか。悪口や陰口を言う時は自己肯定感が低い、つまり自信がないことが多いです。自信がないから他人と比較して、他人を低く見て自分を保っているといわれています。自己肯定感が高い人は自分の考えや行動に自信があるので他人といちいち比較することもなければ悪口を言う必要もありません。悪口を言ってしまうのは「自己肯定感が低い悲しい状態」と考えることができます。
オハイオ州立大学のスコーロンスキー博士の実験では悪口を言われている人の評価はほとんど下がらず、悪口を言っている人の評価が下がったという結果になりました。つまり「人の評判を落とそうと悪口を言うと、言った本人の評判が悪くなるだけ」なのです。「人を呪わば穴二つ」と言いますが、墓穴は二つではなく自分用の墓穴を一つのみ掘ることになるのです。悪口を言われても気にすることはなく、自分が悪口を言わないように気を付けるのが重要です。
「悪口は依存症である」…しゃべれば不満や悪口ばかり言う人がいます。誰かの悪口を言うと、ドーパミンが放出されます。ドーパミンが出ると楽しい気分になります。それを繰り返すとやめられなくなるのです。悪口を言うことでストレス発散しているようにも見えますが、実は快感と同時にストレスを蓄積することが分かっており、その不快さを紛らわすためにさらに悪口を言ってしまいます。まさに依存症です。
東フィンランド大学の研究によると、世間や他人に対する皮肉・批判度の高い人は認知症のリスクが3倍、死亡率が2倍も高くなる結果となりました。心身共に不健康になるのです。
「あの人があなたのことを悪く言っていたよ」とわざわざ陰口を本人に報告する人がいますが、これは特に危険なことで、単に秘密を守れない口の軽い人だと思われるだけでなく、言われた人はその悪口のイメージを報告した人に移して嫌悪感を抱くようになります。
陰口を言うより「あの人って本当に良いよね」などの「陰ほめ」をしましょう。言われた相手はうれしいし、そのうれしさをあなたにも移します。

問合せ:指宿医師会
【電話】34-2820

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