今年は、指宿の姉妹都市、北海道千歳市との交流が始まって、ちょうど30周年を迎えます。きっかけは、指宿の「菜の花」と千歳の「鈴蘭(すずらん)」のフラワー交流からだったと聞いています。30年前と言えば、まだ1市2町の合併前です。当時、旧山川町では、北海道の倶知安町(くっちゃん)との間で「さつまいも」と「じゃがいも」のご縁で「イモ」交流が始まり、それぞれの祭りに互(たが)いに参加していたようです。一方で同じ頃、旧指宿市では、すぐ近くの千歳市と交流が始まっていたのですが、合併を契機(けいき)に現在は、千歳市との交流が引き継がれました。
交流の中身は、子供達が、夏には南国指宿に、冬は北国千歳へと、それぞれが相互に訪問をして、自分たちの町にないものを体験しながら友達を作る青少年交流が続いてきました。又、3年に1度、市の職員を相互に派遣して学び合う事やお互いの代表的なお祭りに訪問団が参加をして、町の魅力をPRしたり、特産品を市民へプレゼントしたりしています。指宿では、温泉祭に参加をいただき、もう1つの姉妹都市、熊本県人吉市や友好都市、新潟県十日町(とおかまち)市と一緒に毎年ハンヤ節をしっかり踊(おど)ってもらっています。
今年は30周年のお祝いを兼(か)ねて、年間を通じて色々な場面で千歳市が登場します。6月に開催されたフラフェスティバルや8月から始まるシルバー美術展でも「千歳市長賞」が贈られます。もちろん、千歳市の方でも「指宿市長賞」が贈られます。
又、それぞれのお祭りで、指宿のフラダンスや千歳のよさこいソーランが披露される予定です。加えて、互いの道の駅でも、特産品の紹介や販売なども準備中で、彩花菜館(さかなかん)や活(い)お海道(かいどう)でも、北海道の味覚を体験する機会もありそうです。是非、今年は、北国と南国の交流を肌で感じる年にして欲しいと願っています。
■様々な交流があって良い
指宿の最も歴史の長い交流は、人吉市との交流です。昭和54年に始まり、今年でもう45年目を迎えます。人吉市は豊かな温泉や球泉洞(きゅうせんどう)などの鍾乳洞(しょうにゅうどう)がある熊本県南部の観光都市です。温泉地同士で「山の温泉」と「海の温泉」のおつき合いとしてスタートしました。
子ども会を中心に交流が続けられてきましたので多くの指宿の子供達が人吉の思い出を持っていると思います。人吉市は令和2年度に甚大(じんだい)な水害で被災し、現在もまだその復興の最中にあります。その中でも毎年市長を先頭に温泉祭に参加をいただいています。高速道を使えば3時間足らずで訪ねてゆける身近な姉妹都市ですので、今後も交流を深めてゆきたいものです。
最も遠い姉妹都市は、豪州オーストラリアの北西部、クイーンズランド州のロックハンプトン市です。人吉市との交流が始まった翌年、昭和55年に来日していたクイーンズランド州知事が指宿を訪問しました。その際、指宿を深く気に入り、同州の観光の中心都市で規模(きぼ)も同じぐらいのロックハンプトン市と「是非、交流を」との働きかけもあり、姉妹盟約を締結しました。それを契機(けいき)に市民団の訪問や、青少年の交流事業が始まりました。昭和58年には交流のシンボルとして「オーストラリアの森」が開園し、又、平成11年には、同市から届いた「赤牛の像」がひょうたん池近くの道路脇に設置され、当時、なのはな館からオーストラリアの森に続くこの道路は通称〝ロックハンプトン通り”とも呼ばれていたのです。現在はコロナ禍の影響で、指宿高校でオンライン交流が続けられています。
市立指宿商業高校では、35年前から韓国・仁川(インチョン)市の永化(ヨンファ)国際観光高校とも交流を続けています。今年は5年ぶりに直接交流が再開し、永化(ヨンファ)高校から4人の学生が指宿を訪れ、約1週間のホームステイを満喫(まんきつ)していました。
指宿はこれ迄、歴代の方々の努力で様々な地域との交流を育(はぐく)んでまいりました。その事は指宿の子供達をはじめ、多くの市民に見聞を広め、多くの経験を得る機会を提供してきました。市民の方々もチャンスがあれば、是非、姉妹都市を訪ねたり、ホームステイなどの受け入れ家庭としてもご協力をお願いいたします。
(指宿市長 打越 あかし)
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