今の日本は高齢社会を迎え、高齢者がかかりやすい疾患の一つに脳梗塞があります。脳梗塞は脳の血管が細くなることや詰まることで血流が途絶え、脳の神経細胞が死んでしまう病気です。しゃべりにくい・ふらつく・体の左右どちらかが動かしにくくなる(片まひ)・しびれる・感覚が鈍くなる(感覚障害)症状が現れます。より広く脳にダメージを受けると呼び掛けに反応しなくなる意識障害などが現れます。猛暑の厳しいこの季節、熱中症や脱水症なども脳梗塞を引き起こすきっかけとなり得ます。
脳梗塞の発症の仕組みや分類はさまざまですが、大きく関与するものの一つに動脈硬化があります。動脈硬化は高血圧症・糖尿病・高コレステロール血症・喫煙などで脳の血管が硬くなり、プラークとよばれる脂と血の塊を作り出します。これが壊れることで血栓と呼ばれる血の塊を作り出します。この血栓が脳の血管を詰まらせ、脳梗塞が発症します。また、前述のとおり熱中症などの脱水や血圧低下などにより、硬く細くなった血管が詰まり、脳梗塞を引き起こします。脳梗塞は早期に治療すれば回復する可能性が高くなりますが、重度の後遺症をもたらし、車いすが必要になったり寝たきりになったりするなど生活の質を損なう人もいます。
今の高齢社会においては健康寿命が重要とされています。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。脳梗塞はこの期間を大きく失う疾患の一つです。そのため、動脈硬化のリスクを知って予防することが重要です。
動脈硬化の原因には高血圧症・糖尿病・高コレステロール血症などがあります。高血圧症の予防には食事と運動による治療が基本となります。食事では減塩が重要で、健康な成人の1日当たり摂取目安量は男性が7.5グラム以下、女性が6.5グラム以下とされています。脂質や糖質の取り過ぎにも注意が必要です。適度な運動も高血圧症・糖尿病・高コレステロール血症の予防には大切です。また、禁煙も重要です。生活習慣を改善することが動脈硬化を予防し、脳だけでなく心臓のためにも重要です。
これからの日本は超高齢社会といわれています。自身の望む楽しく健康な生活スタイルを維持するためにもこれからの日常の過ごし方がさらに重要となってきています。
今月のドクター:指宿医師会 西田 明弘(にしだあきひろ)
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