■誰もが抱える可能性がある認知症。
もし認知症になったら、あなたの暮らしはどのように変わってしまうのでしょうか。
認知症の症状とはどのようなものでしょうか。例えば、物忘れや今日が何月何日なのか、目の前の人が誰なのか分からないといった話を聞いたことはありませんか。では、認知症になったら「何もできない」のでしょうか。
《あなたも認知症になるかも》
認知症はなんらかの原因で脳の神経ネットワークが傷ついて、記憶や判断力などの認知機能が低下し、日常生活に支障を来した状態をいいます。発症するのは高齢者に限りませんが年を重ねるほど有病率は高くなるため、超高齢社会を迎えたわが国では大きな課題となっています。本市においても例外ではなく、認知症を抱える高齢者数の推計は2035年には8千人を超え、65歳以上の4.5人に1人は認知症になることが予想されています(グラフ)。
《認知症基本法が施行に》
今年の1月1日、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(通称、認知症基本法)が施行されました。同法の柱は『認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができる』ことです。
「認知症を抱えても、大切なものや譲れないことは当然あります。認知症と診断されても、自分の事を決めるのは自分。そんな当たり前のことを、どのように支えていくか、どう取り組んでいくかという方針を示したものが認知症基本法です」と話すのは、市内にある松下病院認知症疾患医療センターで働く吉原武史さん(41)です。
同センターの作業療法士として認知症を抱える人に向き合う吉原さんは、「作業療法はその人のやりたいことや必要なことをできるようにするのが目的。認知症と診断された人はできないことに目を向けられがちなことに、違和感を覚えました」と眉をひそめます。「例えば、認知症になると何もできなくなるというイメージを持っている人がいますが、それは間違い。認知症と診断されても、翌日から何もできなくなるなんてことは当然ありません。変わってしまうのは、認知症について理解できていない周りの対応。危ないから、できないだろうからといって料理をさせない、旅行をさせないなど何もかも取り上げるのではなく、本人のやりたいことを支えることが大事です。自分の意に沿わないことには、誰だって反発したくなりますよね。それが介護拒否や強い口調・態度といった行動につながってしまうこともある。その行動の背景を考えてほしい」と吉原さんは力を込めます。
《新しい認知症観》
「認知症基本法の施行に先立ち開かれた幸こう齢れい社会実現会議の中で『新しい認知症観』という言葉が使われました。表現の仕方に賛否はありますが、『認知症になっても、希望を持って自分らしく暮らすことができる』という価値観そのものについては、誰もが考えていかなければなりません。知らないから怖いし、認めたくない、隠したくなる。まずは認知症について正しく知り、価値観を転換することが求められます。認知症は現在、完治することはできませんが、その人らしさを取り戻し回復することはできます。できないことも増えていきますが、できることもあるという価値観を、当たり前にしていきましょう」
▼「みまもりあいアプリ」で認知症高齢者などの見守りにご協力ください
□みまもりあいアプリとは
認知症高齢者や障がい者などが、自宅に帰れず行方不明になってしまった時に、早期発見・保護につなげるためのスマートフォンの無料アプリです。
アプリをダウンロードして利用登録すると、捜索依頼と捜索の協力をすることができます。依頼者が配信した捜索依頼(対象者の写真や特徴などの情報が記載)を協力者が受信します。捜索依頼は、捜索時に設定する捜索範囲内にいる協力者にのみ情報配信され、発見後に依頼情報は消去されます。
積極的な捜索を促すものではなく、普段の生活の中で捜索対象者を見かけたときには、声かけをお願いします。
見守り合える地域にするために、まずは「みまもりあいアプリ」の登録にご協力ください。
◎依頼範囲は設定できます
□アプリのダウンロード方法
(1)アプリを開き「次へ」を押す
(2)「通知の送信」と「位置情報の使用」の許可を押す
(3)ホーム画面が表示されたら、アプリの使用準備は完了
問合せ:
長寿介護課【電話】64-0704
地域包括支援センター【電話】48-7979
<この記事についてアンケートにご協力ください。>