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自治体の皆さまへ

教育支援委員会寄稿

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京都府伊根町

■「凧が揚がった日」(1)
まなび・生活アドバイザー千賀なぎさ

寒い朝、私は小学校の校庭で凧揚げをしている子ども達と出会いました。糸の束を持っているのは低学年のA君。その数メートル先で、凧がうまく風に乗るように操っているのが中学年のB君。凧は7メートルほど上空を漂っていました。しばらくしてB君が糸を離し、「走れ!」とA君に言いました。言われた通りA君が走ると、凧はみるみる空高く揚がっていきました。A君は「うわーっ」と歓声を上げましたが、B君は静かに凧を見つめていました。私が思わず「すごいなあ」とB君に声をかけると、彼の顔には喜びと満足感と自信が満ちているように見えました。
私はこの朝の風景に感動した訳ですが、同時にこの何気ない一コマに、私の仕事の大切な要素がたくさん詰まっているということも感じました。私は、仕事をする上で“子どもと環境”を一つのまとまりとして捉え、子ども達が自分の力をどのように発揮しているか、環境とどのように影響し合っているのかに着目します。
ここで、先ほどの凧揚げに話を戻します。これは「凧揚げの上手な年上のB君が上手にできない年下のA君の凧揚げを手伝った」と言えます。
これを私の「メガネ」を通してみると、こんな風に見えます。凧揚げが上手という一言をとっても、「風の向きや強さ」「どのタイミングでどれだけ糸を繰り出すか」「今の条件ならどこまで凧を上げられそうか」「何時まで挑戦できるか」等、状況を把握する力・掴んだ情報を処理する力・集中力など、実に多くの力が発揮されています。そして、彼が自分の力をいかんなく発揮できた前提には“親しみ慣れた校庭とよく知っているA君”という条件がありました。凧が引っかかるような木はないか、走れるスペースがどこまであるか、A君がどういう子で何ができるかを知っていた等の条件をモノやヒトという環境として捉えます。
そして、この話にはもう一つ素晴らしい点があるのですが、それは次回のコラムでお話しします。

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