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「郷育(きょういく)」学習にあたって(13) 明日に続く一日を

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千葉県長南町

幾度挑戦するも、その長編故に途中で挫折してしまう本に、「夜明け前」があります。中仙道を参勤交代で通過する人々や、住民の日常の様々な生き様・関わりを、馬籠宿(まごめじゅく)本陣当主の立場から詳細に描いており、奥深い木曽谷に遠い地鳴りのように響いてくる、偉大な時代の足音や街道のざわめきが、歴史を一層身近にさせ、興味を高めてくれます。特に、今に続くゆったりとした時の流れと、そこで毎日を真摯につましく生きる村人の平凡な日常と風俗、山村四季の風物の数々は、「地方に生きる」ということを問い、その価値を現代に生き生きと伝えてくれる、大きな魅力があります。

今、テレビで多くの視聴者を集めるものに、地方を訪ねる旅番組があります。バスや電車を乗り継ぎ、行く先々で地元の人々の笑顔と会話、誠実さや伝統の郷土食に触れる所に人気が伺えます。そこに流れる長い歴史と育まれた人情、溢れる風物の数々が魅力として語られるからでしょう。また、奥深い山間(やまあい)に残る家を訪ねる番組もあり、辿る困難さを強調しています。訪問者から、「何故ここに住んでいるのですか」「ここでの生活は楽しいですか」「不便ではないですか」などの質問が発せられます。「不便や不便でないという問題ではなく、私たちは昔から代々ここで生活してきました」との老人の朴訥(ぼくとつ)さに、住む意味が語られます。

また、「ここで生まれ、ここに嫁かしてきたことが生活の始まりであり、自分の時間はここに生きた先祖に繋がる長い時間の一部です。額に汗する毎日の仕事や子育て、安心して誠実に生活できる日常こそが、ここで生きることなのです」と。更に、「ゆったりした時の流れと広々した空間、水や風の音を聞き、鳥の声や四季の変化を楽しみつつ、心通う近所の人々と暮らす生活は、何よりの宝です」の言葉に、地についた時の経過を知らされます。日々、雄大な自然に頭を垂れ、与えられた時の流れを真摯に受け止め、真剣に生きてきた人の、言葉少なに語るその誠実さや重さが、都市化された私たちの心に輝いて響くのでしょうか。
本町にも多くの方々が、町の素晴らしさを理解し移り住んでいます。子どもたちには、長南町の素晴らしさをたくさん学び、地域の温かさを財産とし、健やかに育って欲しいと願っています。

長南町教育長 小髙 憲二

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