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わたしたちの健康「下肢に生じた腫れ、発赤」

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埼玉県和光市

朝霞地区医師会 中捨克輝(なかすてかつき)

下肢は血液、リンパ液が重力に従ってたまりやすい場所であり、年齢や立ち仕事、肥満などにより下肢がむくんだり、腫れたりすることが時にみられます。下肢がむくんで太くなるのは血液を循環させる心臓の働き、水分や老廃物を排出する腎臓の働き、効率よく体液を循環させる下肢の血管やリンパ管の機能の問題が潜んでいる場合が多いので、下肢がむくんでいる時にはまず、内科の先生にご相談しましょう。
今回お話させていただく「下肢に生じた腫れ、発赤」で代表的なものは下肢の毛穴やケガ、水虫などの傷からばい菌が入り感染・増殖する「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」というものです。菌が入った部位から患部は赤く腫れて熱を持ち、痛みも伴います。早めに病院を受診しお薬による治療を始めれば良くなることも多いですが、そのままにしていたり、患部の炎症が治まるように安静にしていないと菌による炎症はリンパ液の流れに沿って足の付け根の方に上っていき、足の付け根(そけい部)のリンパ節が腫れたり、全身の熱が出ることもあります。こうなりますと病院に入院して抗生物質の点滴を行う、といったしっかりとした治療が必要となります。
蜂窩織炎を早く確実に治すためのコツは上にも簡単に書きましたが「早く受診して、適切な抗生物質をもらい、患部の炎症を抑えるため安静にすること」です。私たちが病院で診療していますと蜂窩織炎の治療がうまく行かずに紹介され、結果として入院が必要になってしまう患者さんがいらっしゃいますが、治療がうまく行かなかった原因は受診が遅れたり、第三世代セフェム系という効果の十分でない薬が使われていたり、足が腫れているのに仕事に行ったりして安静が不十分であった、というケースがほとんどです。安静を指示すると「仕事が休めない」とおっしゃる方もありますが、悪化して入院になってしまえばもっと長く仕事を休むことになります。早く、しっかりと安静にしていた方が仕事に復帰できるのは早くなります。
蜂窩織炎と似た症状でもっと重症なもの、見逃してはいけないものについてもご紹介します。一つは壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)と言われる進行が早く、患部が腐って緊急手術が必要になったり全身に菌が回って敗血症性ショックという命に関わる状態になりやすい重症の感染症です。もう一つは不潔な生活環境や治療をされていない糖尿病のある方に起こりやすいガス壊疽(えそ)という感染症で、悪臭や患部にガスが溜まったりするのが特徴です。これらは早期に集中的な治療、手術などが必要になることが多いです。
感染症以外にも血液やリンパ液の循環に問題があることで蜂窩織炎に似た症状を起こすものがあります。一つは静脈が詰まってしまうことで起こる「深部静脈血栓症」といわれるもので、一般にエコノミークラス症候群などと言われることもあり、患部の腫れ方は蜂窩織炎によく似ていますが血栓が肺に飛ぶと命に関わることもあるため、血液検査を行って見逃してはいけない病気です。もう一つは急な腫れというより、慢性的に下肢がむくむことで炎症を起こしてくる「うっ滞性皮膚炎」という病気です。前々からむくみがあって抗生物質の内服をしてもなかなか改善しないことから見分けられますが、生活習慣の改善や地道な患部の手入れなど、改善させるには患者さんが治療に積極的に協力して取り組んでいただく必要があります。
下肢は第二の心臓とも言われるほど皆さんの生活には大事な「生活道具」です。足に傷があったり、水虫を疑うときは腫れる前に皮膚科でみてもらい、さらに異常を感じたらなるべく早めに内科を受診して相談するようにしましょう。

問合せ:朝霞地区医師会
【電話】464-4666

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