◆栄一翁の根底にあったのは論語の『仁(思いやり)』
小島市長:鳥羽さんは実業家として活躍されてきて、栄一翁にはどういう思いをお持ちですか。
鳥羽氏:思いなんて言葉で簡単に言えるものではないですが、栄一翁の功績で一番驚くのは、幕末にヨーロッパに渡り、短い期間で銀行のシステムなどあらゆるものを見て、それを日本に再現できたことです。
小島市長:そうですよね。鳥羽さんも若い頃に、外国でサラリーマンが朝にコーヒーを飲む姿を見て、日本の喫茶店を変えようというひらめきがあったと聞きましたが、栄一翁と重なるところがありますよね。
鳥羽氏:いやいや、栄一翁とは次元が違いますよ。
小島市長:共通していると思いますよ。
鳥羽氏:それと栄一翁は、本当に私利私欲なく、国家のためということを貫き通したということに、いつも感心しています。
渋沢氏:栄一は、割と人から嫌われていないですよね。
鳥羽氏:嫌われていなかったということも、栄一翁が小さい頃から論語を学んで、体に染み付いていたからだと私は思います。
栄一翁は、論語の中でも『仁』が一番大事だと言っています。つまり、すべての行動はいわゆる『思いやり』なんです。『思いやり』で行動すると、敵をつくるということはないと思うんですよね。
◆『渋沢栄一アンドロイド』でよみがえる在りし日の栄一翁
小島市長:本日この会場にも来ている『渋沢栄一アンドロイド』ですが、鳥羽さんから寄附をいただいたからこそ実現しました。鳥羽さんは世間が栄一翁に注目する前からこの話をしていましたよね。
鳥羽氏:そうですね。観光で深谷に来る多くの人の記憶に、栄一翁を残す方法はなんだろうと思った時に、とっさに『アンドロイドだ』と思ったんです。
小島市長:その発想がすごいですよね。先ほどご覧いただいたアンドロイドは、80代の栄一翁を再現したもので、現在改修中の旧渋沢邸『中の家(なかんち)』で今年の夏から公開予定です。
鳥羽氏:アンドロイドが話すことで、みんなが栄一翁に対して親しみを持ってくれますし、特に子どもには、『思いやり』が大事ということを言い聞かせたいですね。
小島市長:雅英さんは、アンドロイドの栄一翁をご覧になってどうですか。
渋沢氏:新紙幣の肖像とも、とてもよく似ていますよね。私は、アンドロイドの顔つきや表情、動き方などが、栄一の基本的な姿として皆さんに残っていくのだと思います。これだけのものができて、非常に感動しています。
小島市長:ひ孫である雅英さんにそう言っていただけるとありがたいです。鳥羽さん、うれしいですね。
鳥羽氏:うれしいです。
◆ふるさと深谷へ寄せる期待と郷土愛
小島市長:鳥羽さんは深谷出身ということで、深谷への思いを教えていただけますか。
鳥羽氏:深谷での記憶といえば、登校の時に赤城おろしの風が冷たかったのが印象強いですね。
また、これからの深谷の発展には、最近整備されたアウトレットなどが鍵になると思います。人々が深谷に行ってみたいと思うような、楽しい深谷にしていってもらいたいですね。
小島市長:ありがとうございます。雅英さん、栄一翁は深谷にどんな思いを持っていたのでしょうか。
渋沢氏:栄一は深谷にいた若い頃、いろんな人が独立心を持って将来の夢などを語り、深谷というもののアイデンティティーを感じていたと思うんです。そこからずいぶん無茶苦茶なことをやりましたが、結果として非常に大きな事を成し遂げました。そういう独立心を持ってみんなが夢を語れる深谷になってほしいと、栄一は言っていたようです。
小島市長:なるほど。すごく心に響きました。栄一翁は一年の最初に、血洗島の獅子舞の日を、スケジュールに入れてくれていたそうです。そんなところからも、非常に故郷を思ってくれていたんだと感じました。
渋沢氏:そうですね。
小島市長:私は、子どもたちには、深谷にとどまることなく日本や世界を相手にやりたいことをどんどんやって、自分の夢を実現していってほしいと思いますが、心のどこかに故郷への愛を持っていてもらいたいなと思います。
◆新紙幣を通して全国に伝えたい栄一翁の思い
小島市長:最後に、栄一翁が新紙幣の肖像になることに対して、お二人はどんな期待をお持ちですか。
渋沢氏:今までのお札の肖像の皆さんも、日本のさまざまな分野で活躍された立派なかたですし、栄一がその仲間に入るのはとてもいいと思っているんです。『喧嘩するのではなく、みんなで協力して新しい国をつくりましょう』という意味がお札に込められているような気がして。
鳥羽氏:栄一翁の考え方で私が最も教えられるところが、『何か物事をやるときは損得が先ではなく、何が正しいかが優先』ということだと思います。それを世の中に伝えることができるといいですね。
小島市長:そうですね。私は、日本全国で栄一翁のネットワークをつくり、お互いが協力し合って、いろんな化学反応が起きたら面白いと思うんです。ぜひ、また新たな目標に向かって、深谷らしい面白いことをやっていきます。
本日はどうもありがとうございました。お二人とも体に気をつけて、これからもご活躍ください。
渋沢氏・鳥羽氏:ありがとうございました。
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