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脇役なんて、言わせない ぎゅぎゅっとねぎ誕生物語(1)

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山梨県甲斐市 クリエイティブ・コモンズ

甲斐市に誕生した新たな特産品の名は、「甲斐のぎゅぎゅっとねぎ」。その美味しさは口コミで広がり、市内屈指の人気を誇る農産物直売所「JA梨北よってけし響が丘店」でも連日売り切れが続きます。その人気の裏には、人を、地域を活気づけたいと願う人たちがいます。さあ、「ぎゅぎゅっとねぎ誕生物語」のはじまりです。

双葉の大地に広がる一面のネギ畑。空に向かってまっすぐ伸びる緑色の穂先からは、力強い生命力を感じます。そこに、初めて種を蒔いたのは、ひとりの青年でした。彼が育てた熱い想いはやがて、多くの人たちの心に広がっていったのです。彼らが育てた白ネギは新鮮だからこそ辛く、火を通すほど甘くなる。「ネギは脇役」なんて誰が言った?食べたら、きっと伝わるこのネギの魅力を知ってください。

■免疫力を高める「白ネギ」で冬を元気に風邪予防や美肌効果も!
冬野菜の代表格「白ネギ」。鍋料理には欠かせない存在です。昔から風邪に効くといわれてきましたが、JA梨北に確認したところ、確かにネギには体に良い成分が豊富に含まれているそうです。
まずはネギの白い部分。注目したいのはネギ特有の香りと辛みのもと「アリシン」という成分です。血行を促して体を温めるため、引きはじめの風邪や肩こり解消等に効果的です。
青い部分で注目したいのは、「ヌル」と呼ばれる粘液物質。免疫力を高め、風邪の予防に効果的。B-カロテンやビタミンC、ミネラルも豊富に含まれており、美肌効果も期待できます。
このように栄養豊富な「白ネギ」ですが、令和元年度の農林水産省「農林水産統計」によると、国内におけるネギの年間生産量は465、300トン。そのうち山梨県内における生産量は1、508トンと、わずか0・3%程度に過ぎません。一方、同年の総務省「家計調査」によると、1世帯当たりのネギの年間消費量は、全国平均が約4・5キログラム(約27本)に対し、山梨県民は4・2キログラム(約25本)と消費量には、大きな差がありません。たくさん食べられる野菜であるのに、県内生産量は圧倒的に少ないのが現状なのです。

■県内生産量は、わずか0・3%「ぎゅぎゅっとねぎ」が山梨を変えていく
そこに着目したのが、甲斐市の新たな特産品「甲斐のぎゅぎゅっとねぎ」です。
JA梨北によると、県外で収穫された白ネギが市内の店頭に並ぶまでには4日程度かかりますが、県内で収穫された場合は2日程度。地域の直売所であれば、その日のうちに店頭に並ぶ可能性もあります。鮮度が命の野菜であれば、この日数の差は歴然です。私たちの地域でネギが生産されることで、より鮮度が高く、より美味しいネギを食べられるようになるのです。今シーズンの「甲斐のぎゅぎゅっとねぎ」は、昨シーズンの3倍「約60トン」の出荷を目指します。この白ネギが山梨の未来を変えていくのです。

■「甲斐のぎゅぎゅっとねぎ」ってこんなネギ!
・令和元年11月にブランド化された「甲斐のぎゅぎゅっとねぎ」は、10月から3月にかけて出荷される「夏扇」。旧双葉町地域を中心に生産される白ネギで、名称には、双葉特有の固い赤土で美味しさを「ぎゅぎゅっ」と詰め込むという意味を込めています。
・特徴は、しっかり締まった「巻き」と切ると納得する鮮度の高さ。切ったそばから溢れ出す粘液には、辛味成分がたっぷり含まれ、火を通すと驚くほどの甘みに変わります。白い部分は太く厚いため、食べ応えも十分です。

■甲斐のぎゅぎゅっとねぎ発起人原田勝由さん
双葉の青空の下で、自分にしかできないネギを作りたい
「今後10年間で、白ネギ出荷量を県内シェア70%まで引き上げる」。これが私たちの目標です。現在のシェア5%と比較すると大きな数字ではありますが、目標は大きい方がおもしろい。
出身は横浜です。親元を離れたくて、高校、専門学校を双葉で過ごしたことが、この地との出会いです。双葉の自然、青空、人はいつも新鮮で穏やかで楽しかった。21歳の時、地元に戻り建設機械関係の会社に就職しましたが、この地を忘れることはありませんでした。当時は肉や魚の食品偽装が社会問題となっていた時期で、友達に子どもが産まれたこともあり、「子どもたちには新鮮で安全なものを食べてほしい」と感じました。その時、双葉の青空が鮮明に思い出されたのです。「あの青空の下で、自分にしかできない野菜を作りたい」という強い思いに突き動かされました。平成26年、山梨に帰ってきました。県内シェアが少ない白ネギに着目して、「これならいける」と感じました。けれど1年目は悲惨なものでした。当たり前ですよね。野菜作りはそんなに甘くありません。収穫したネギは手のひらサイズで、売れるような代物じゃない。購入した機械も盗まれるなど苦い思い出です。
今があるのは、この地の人が私を助けてくれたからです。孤独だなと感じた時も、手を差し伸べてくれる人がいました。JA梨北の小野支店長に相談したことで、具体的な未来を想像できるようになりました。
あれから6年。結婚し子どもが生まれました。長男が誕生した昨年、仲間とねぎ部会を発足し、JA梨北でのブランド化もスタートできました。ロゴは妻が考えてくれたんです。「シェア70%」の達成は私ひとりだけでは難しいでしょう。この高い目標には、私や家族、仲間たちだけではなく、地域を活気づけたいという願いも込めています。ネギを作る人、加工する人、販売する人、食べる人まで、すべてが地域で満たされる。それが耕作放棄地の解消や新たな雇用の創出、安全な野菜を食べるという理想の地域づくりにつながると信じています。

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