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自治体の皆さまへ

読むと笑みがこぼれる こもとれん 内子の方言話(3)

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愛媛県内子町

■columu2 方言×地域づくり
◇地域と人とをつなげる方言の懐かしさ
源田 幸生(ゆきお)さん(74)(源台組)

南山地区では5年前から「おんごく南山山菜まつり」を開いています。地元で採れた山菜の天ぷらや名物の釜あげうどんの販売、まき割りや餅つきの体験など、昔ながらの里山の暮らしと恵みを楽しめるイベントです。
「おんごく」はこの辺の方言で山奥の意味です。昔から使われてきた言葉で、懐かしさや親しみを感じます。ふるさとの言葉で地域と人とのつながりを生みたいという願いを込めました。催しは、ばっぽ、おぞろ、どんぎり割りなどの方言を使っています。懐かしさや珍しさで、来場者との会話のきっかけにもなっています。
地域を離れて暮らす人たちもこの日のために帰省し、応援してくれるようになりました。子どもたちも手伝ってくれて、以前よりも地域の結束が強くなりました。これからもできる限り続けて、ふるさとの良さを未来につなげていきたいです。

「おぞろ」はうどんのこと。温かみのある方言を使って、来場者と交流している

■方言は会話するだけで受け継がれる文化。地域の宝物を残すために、まずは話すことから始めてみませんか
愛媛大学社会共創学部 地域資源マネジメント学科 准教授 井口 梓(あずさ)さん

8年ほど前、町民の皆さんに協力してもらい、内子町の方言「ぞぶる」を調査しました。方言には生活文化や地域の環境、社会関係やその時の情景など、いろいろな関係性がギュッと詰まっています。例えば、プールや深い川に入ることは「ぞぶる」とは言いません。帰省したときだけ「ぞぶる」を使うという人もいました。地域や世代によって使う状況も違えば、意味の捉え方も違います。「ぞぶる」という方言から、地域の暮らしの変化や川と人との関係性の変化を読み取ることができます。
最近では、方言を核に据えてまちづくりをする自治体が増えています。地域固有の文化や地域の暮らしを表現する言葉としてよく使われます。まちの拠点づくりに参画している学生なども、方言に注目しています。本人はその言葉を使わないけれど、地域のさまざまな世代と自分とを結び付けたいという思いがあるようです。
方言は地域みんなの宝物です。長い年月をかけて人の声で伝えられてきた言葉だから、地域特有の温かみもあります。違う土地でふるさとの言葉を使う人がいると、距離感が縮まると思います。子どもたちが方言で話すのを聞いて、「地域の子どもたち」と思う気持ちもそうです。方言は地域の連帯感や仲間意識を育みます。一方で、形のないものだから、使う努力をしないと消えてしまいます。独特の発音などは会話の中で身に付くので、書物だけでは伝承されません。方言は多世代と話すことで残っていくもの。時代の移り変わりとともにその機会が減り、失われつつあります。
人と人をつなぐのはやはり言葉です。こんな時代だからこそ共通語では感じられない方言の温もりや安心感は、かけがえのないものかもしれません。上の世代の人たちは方言一つにもきっと家族や友人たちとの大切な思い出や記憶があるはず。今日は誰かと方言で話して、かつてのふるさとの暮らしに思いをはせてみませんか。

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