11月は「児童虐待防止推進月間」「新潟市子どもの権利推進月間」です。子どもが健やかに成長できるよう、この機会に子どもとの関わり方について考えてみませんか。また、虐待を防ぐには周囲の支えが必要です。みんなで子育て世帯を見守りましょう。
◆子どもにこんなことしていませんか?
・言葉で注意しても言うことを聞かないので、頭をたたいた
・「お前なんて生まれてこなければよかった」など、子どもの存在を否定するようなことを言った
・宿題をしなかったので、食事を与えなかった
◆専門家に聞きました
NPO法人 子ども・人権ネットCAP(キャップ)・にいがた
事務局長 太田 美津子 さん
▽虐待は体罰だけではない
児童虐待は、主に4つの種類に分類されます(下記)。虐待と聞くと、殴る、蹴るなどの暴力的な行為を思い浮かべる人が多いと思いますが、子どもの前で暴言を伴う夫婦げんかをするなど、子どもの心を傷つける行為なども虐待に当たります。
▽虐待による影響
虐待は、暴力を受けたことや食事を与えられなかったことによる成長不全などの身体的影響、学校に通えず十分な学力が得られないなどの知的発達面への影響、幼少期の心理的トラウマで人間関係の構築が難しくなるなどの心理的影響を子どもに及ぼします。
中でも、心への影響は特に深刻です。虐待を受けている子どもは暴力や暴言によるコミュニケーションしか知らない場合が多く、友達などにも同じような接し方をしたり、「この人は信頼できる人なのか」という不安からわざと大人を怒らせる行動をしたりします。また、親を愛する気持ちから「自分が悪いからたたかれるんだ」と考えてしまうこともあり、自己肯定感が低い場合が多いです。
▽しつけと体罰は違う
「何度言っても言うことを聞かないから、つい手が出てしまう」「自分もたたかれて育った」など、子どもへの暴力を「しつけ」として正当化する人もいるかもしれません。
しかし、子どもの体に苦痛を引き起こし意図的に不快感をもたらす行為は、どんなに軽いものでも体罰に該当し、法律で禁止されています。また、体罰以外の虐待も子どもの人権を侵害するものであり、どのような理由があっても決して許されるものではありません。
▽ストレスを抱え込まないで
子育てにストレスは付きものです。時には自分の時間を作ってリフレッシュしましょう。イライラしたときは「深呼吸をする」「ゆっくり6秒数える」など、自分に合った落ち着き方を見つけることもストレスと上手く付き合うこつです。
悩みがあるときは、周囲の人や窓口に相談してください。解決方法が見つかるかもしれません。心の負担が軽くなると子どもとしっかり向き合うことができ、子どもの健やかな成長につながると思います。
◆虐待の種類
○身体的虐待
殴る、蹴る、たたく、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、異物を飲ませる、家の外に閉め出す、意図的に病気にさせるなど
○心理的虐待
言葉で脅す、無視する、拒否的な態度を取る、ほかのきょうだいと差別的な扱いをする、目の前で暴言を伴う夫婦げんかをするなど
○性的虐待
子どもへの性交や性的行為、子どもの性器を触る、子どもに性器を触らせる、性交を見せる、わいせつな画像の被写体にするなど
○ネグレクト(育児放棄)
衣・食・住の世話が極端に不適切、健康への配慮を怠る、同居人や家族による虐待を放置する、子どもの意思に反して登校させないなど
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