博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■渡辺崋山(かざん)が描いた厚木の風景 山岡裕子
「厚木六勝」は、田原藩(愛知県田原市)の武士、画家の渡辺崋山が描いた江戸時代後期の厚木の風景です。長い間行方が分からなくなっていましたが、2017年頃に米国のハーバード美術館での所蔵が確認されました。
それまでは博物館所蔵の白黒写真でしか見られませんでしたが、カラー画像で見ると新しい発見があります。「菅廟驟雨(かんびょうのしゅうう)」にうっすらと入る絵の具は青々とした田んぼを、「雨降晴雪(うこうのせいせつ)」の白は大山の雪化粧を表現していることが分かります。崋山が厚木を訪れた11月上旬は緑色の稲や雪は見られないので、厚木の人々から聞いた情報を足したのでしょう。
9月19日から開催される、特別展示「優しい旅びと・渡辺崋山展」・「厚木六勝」と「游相(ゆうそう)日記」は、博物館や美術館で「厚木六勝」のカラー複製を見られる日本初の機会です。新しい発見があるかもしれませんので、ぜひお越しください。
展示会は11月8日まで開催。
詳しくは市HPに掲載
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
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