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自治体の皆さまへ

みんなで人権を考える「つなぐ」TUNAGU2.

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福岡県筑紫野市

■「TUNAGU2.」とは
人と人、心と心をつなぐ、世界とつなぐ―人権尊重のまちづくりの一環として、さまざまな人権問題について市民の皆さんと共に考えます。

■小説(しょうせつ)「破戒(はかい)」の再販(さいはん)
そのだ ひさこ
7月8日から、全国の映画館で映画「破戒」が上演されている。
私は、この映画が全国水平社100周年の記念集会の最後に上演されたため、3月3日に京都で見ることができた。
当日は、ステージ上に主人公の「丑松」を演じる俳優の間宮祥太朗さんと監督の前田和男さんがあらわれ、司会の質問にしばし答えるという時間帯があり、映画はその後上映された。
映画では、当時の社会の、あまりに理不尽で差別的な言動が「丑松」へ向けられていた。私は、これらの言動に対する怒りとともに、「丑松」の言い知れぬ忍従とかなしみの深さに何度も涙がこみあげた。
実は島崎藤村の小説「破戒」は明治39(1906)年に自費出版され、多くの反響、反発をよび、被差別部落の人々からも強い批判があった。それらを受け入れる形で書き直し刊行されたが、昭和4(1929)年に絶版になった。だが、「明治の文学史上、画期的意義を有する不朽の名作であり、貴重な芸術品である」として、再販に動き出した人物がいた。島崎藤村を何度も直接訪ねて話をし、その後、昭和13(1938)年の「全国水平社第15回大会」で初めて「「破戒」再販支持」決議が緊急動議として出され、満場一致で決定されたのである。
その動議を出したのは当時の全国水平社書記局長であった井元麟之さんである。井元麟之さんは、全国水平社委員長であった松本治一郎さんの懐刀といわれた人物で、ともに福岡出身で水平社運動を担ってきた闘士である。
教科書に部落問題が載り、部落差別をなくす教育が始まったのは昭和47(1972)年である。それより以前の差別的な社会の中では、出版物や映画、演劇などで使われる差別的な言葉は、きびしく指摘されていた。しかし、「良いもの、正しいもの、貴重なものに対してはそれだけの理解と認識をもって支持し、擁護するという本来の方針を社会に明らかにすることの意義は決して小さなものではない。」という提案だった。
これ以降、昭和23(1948)年「破戒」は劇団「民芸」の創立公演に選ばれ、東京だけでも8万人が観賞したという。その後、既成の文化・芸術を問いつつ、人を大切にする文化創造・再生をめざし、「部落解放文学賞」の設置などがなされ今につづいている。

問合せ:教育政策課

■差別(さべつ)された人々(ひとびと)を描(えが)いた文学(ぶんがく)
明治4(1871)年の解放令によって、制度上の身分差別が廃止されましたが、人々の差別意識は変わりませんでした。
当時、苛酷な部落差別がある状況の中で誕生した「破戒」は、中学校の教科書の中で、次のように紹介されています。「島崎藤村は、小諸義塾(長野県)の教師となりました。そのときに知った差別された地域出身の教師の苦悩を客観的に見つめ、小説「破戒」を著しました。この作品は、社会や人間のありのままの姿を描く自然主義文学の代表とされるとともに、差別について人々に考えさせるきっかけになりました」と。
今回60年ぶりに映画化された「破戒」は私たちに学ぶ機会を与えてくれています。

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