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みんなで食べよう!の霞ヶ浦の豊かなジオ食

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茨城県かすみがうら市

今年も7 月から観光帆引き船の操業が始まります。帆引き船は、明治時代の国家政策である殖産興業の影響で考案された漁法でしたが、青空と湖面に映える白い帆が風景に合い、いつの日か当地域を代表する風物詩になりました。
さて、帆引き船の登場によって活発となった霞ヶ浦漁業ですが、霞ヶ浦の魚が注目されたのは、水産加工品の発展で煮干しや佃煮が各地の人々に好まれたからでした。
かつての土浦駅の駅弁売り子から「霞ヶ浦名産焼ワカサギ、シラウオに桜エビ」、「霞ヶ浦名産ウナギ丼」などを聞いたことが懐かしく感じる方も多いと思います。
今回は、「帆引き船」が活躍した理由の一つである当時の水産加工文化を、明治時代に調査・報告された『霞ヶ浦北浦漁業調査報告書』などから、また、各家庭に伝わる川魚料理について紹介します。
問歴史博物館

◆ワカサギの加工
 江戸時代における霞ヶ浦のワカサギは、例年豊漁であるにもかかわらず、加工業者はほとんどなく、鮮魚のため販路も限定されて日持ちがしないことから、多くが肥料となって消費されていました。
慶応年間に、福島県の茂右衛門がワカサギの素乾法を当地域に伝授すると、次第に五十集屋が増加し、福島県への販路ができたといいます。この素乾は、晴天2日から4日間そのまま天日に干し、午前と午後に1回以上反転させたものです。
一方で煮乾は、一説によると栃木県小山の上田氏なる人物が手賀村(行方市)の高塚利八に伝授し、その後、田伏村(かすみがうら市)の坂部五右衛門(秋田県八郎潟へ帆引き船を伝えた坂本金吉の実家の人物)も製造し始めたといいます。
焼ワカサギは、ワカサギが「公魚」と漢字で書く由来にあるように、江戸時代に麻生藩(行方市)新庄氏が、大老酒井忠勝を通じ、三代将軍徳川家光へ献上したことで有名な加工品です。
手間がかかる焼ワカサギは、3寸から5寸の竹串にワカサギの腹部を貫通させ、大ワカサギなら3尾、小ワカサギなら4~5尾を一串として焼いたものです。
明治時代でも年末年始の贈答用として人気でした。
秋から冬にかけてのワカサギは大きく、脂も乗り、この時期は気温も低いので日持ちも良くなり、夏の煮干しに対して冬は焼きワカサギがもてはやされました。
明治時代の頃は、ワカサギは佃煮加工はされず、以上の3種の加工法で製造・販売が行われていました。

◆シラウオの加工
シラウオは、煮乾あるいは鮮魚で食しました。
煮乾は、ワカサギの製造法とほぼ同じです。
製造する際の分量は、シラウオを掛舛1升に付き、塩三合、さらに差塩三合を直径70cmの平釜に18Lの水で煮て、天日干しします。
製造されたシラウオの煮乾は、ワカサギよりも販路が広く、当時最も流通したのが長野県で、次いで東京、山梨、群馬、栃木、福島など、主に近隣に海がない地域に送られました。

◆エビ・ゴロ・イサザの加工
霞ヶ浦に生息するエビは、マエビ・スジエビ・ヌカエビとして報告書には記載されており、煮乾(乾エビ・桜エビ)と佃煮に加工されました。
乾エビは、新鮮なエビを沸騰している塩水の中に入れ、再度沸騰させます。煮えたエビは、釜から揚げて冷まし、むしろの上で天日干して完成です。
桜エビは、前述の乾エビの殻を取り除いた肉質のみのものです。
殻を取るには、臼でついたりしていました。
また、清国(現在の中国)に輸出(日清戦争の戦地へ向けての保存食と考えられる)される加工品でした。
エビの佃煮は、土浦や佐原から取り寄せた醤油と東京や土浦から取り寄せた糖蜜を4升の釜に入れ、エビを投入し30~40分以上1時間以内煮て作られました。
ロやイサザは、エビと同様に煮乾と佃煮に加工され食されました。これらは、シラウオと同様に北関東、中部地方、そして北陸方面にも運ばれていきました。

◆コイ・フナ・ウナギ・ドジョウ・セイゴ・サイ
これらの魚は加工されず、鮮魚のまま調理され食されました。

◆親しまれる家庭の味
水産加工以外にも霞ヶ浦の川魚は、各家庭で調理され食卓にのぼりました。
コイは、旨煮とコイこくが絶品です。
旨煮は甘辛い醤油だれで煮詰めた、あとを引くおいしさ。
コイこくは、コラーゲンとアミノ酸をギュッと味噌仕立てで閉じ込めたスープで、地元の野菜と一緒に煮込むことから鯉のけんちん汁ともいえるものです。
フナやタナゴは、背開きにして串に刺して焼いた「スズメ焼」が代表で、山椒味噌をつけてカリカリとかじります。
また、フナ味噌は、串焼きにしたフナを包丁で細かくたたき、これに味噌を加えてさらにたたき、最後にゆずを加えて味を調えます。
山椒の実や砂糖を加えてもおいしいです。
特に寒ブナは絶品で、フナ味噌を炊きたてのご飯に乗せて食べると病みつきになります。
エビは、みずみずしい大根を輪切りにしたものと一緒に煮る「エビ大根」、そして何と言ってもネギや玉ねぎと共にカラリと揚げたエビのかき揚げは老若男女の大好物です。シラウオは、生のまま泥酢(酢味噌)・卵とじ・吸物といろいろな食べ方ができます。
米一升に醤油一合の割合でご飯を炊いた後(醤油の分だけ水を控える)、釜揚げしたシラウオ2~3合を混ぜ合わせて食します。
茶色のご飯に白いシラウオが光って食欲がそそられます。
イサザは、コマセやアミともよばれる1mmくらいの小さなエビです。
新鮮度を保つため、獲れたてのイサザに塩を混ぜて密閉します。
そのまま御飯にでも合いますが、このイサザの塩辛をフライパンでいり、ふりかけ風になったものを温かいご飯にかけて食べると絶品です。
イサザの「まき」は、すり潰したイサザに小麦粉と味噌を混ぜて団子状にし、つみれの要領で適量をちぎって汁に入れ吸物として食べます。
とても出汁がきいて、おいしい匂いに誘われる一品です。

◆霞ヶ浦の川魚を食べよう!
霞ヶ浦の川魚たちは、地域に住む人々にとって欠かせないタンパク質であると共に、この地域を象徴する食文化をつくりあげたすばらしい食材でした。
現在では、食卓に霞ヶ浦の川魚たちが並ぶのは少なくなりましたが、このすばらしい食文化は、本市の地域活性化の重要な資源といえます。
市民の皆さんも霞ヶ浦の川魚を見直し、購入し、郷土食として試すもよし、イタリアンやフレンチ風に新たな料理を考えるもよし、素晴らしき地元の食材を家庭料理に活用してみませんか?
多くの人々の霞ヶ浦の川魚の活用は、食文化から帆引き船をはじめとした漁業文化の再構築、自然環境の保全へとつながります。
来年度の「世界湖沼会議」に向けてぜひとも市民の皆さんができる未来への霞ヶ浦に関する活動として、霞ヶ浦の川魚を食べることから始めましょう!

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