
(連載)
■第4回 老舗企業に学ぶ事業再構築
中小企業診断士 柳 義久(やなぎ よしひさ)
皆様ご承知のように、経済産業省(以下「国」)では大きな予算を組んで、中小企業者の事業再構築を支援しています。国のホームページには
「新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。そのため、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換,又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。」と記されています。
しかし事業再構築といっても何をどうすればいいのか分からないという事業者もいます。筆者も個々の事業者が何をすればいいのか具体的な提案をする知恵はありません。
今回、当コラムでは「老舗企業に学ぶ「事業再構築」と題して、創業から220年、幾多の困難を乗り越えて成長発展を遂げてきた鈴与株式会社の歴史から、新分野への展開、業態転換、業種転換、事業再編のヒントを得ていただければと考えました。
老舗企業と言えば、先祖代々の事業を地道に続けているイメージを持たれるかも知れませんが、環境変化やリスクに挑む「非連続」の革新がなければ時代の波を乗り越えられません。祖業で生きる伝統業種であっても販売や組織のイノベーションがあってこそ生き永らえられる。
1801(享和元)年、静岡県清水港の廻船問屋として創業、以来220年、幾度もの社会的経済的危機を、新分野展開、業態転換、事業再編によって乗り越え、常に挑戦を続けている鈴与株式会社について、
問屋株を譲り受けての創業
問屋特許の停止と安政の大地震
急速な近代化の波
第二次世界大戦からの再建
コンピュータ化とグローバリゼーションへの挑戦
節目節目を乗り越えて2021年10月に創業220周年を迎えるまでの挑戦を紹介します。
鈴与株式会社の歴史については、同社のホームページや『200年企業(日経ビジネス人文庫)』を参考にさせていただきました。
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