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(特集)アートのチカラ(1)

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熊本県熊本市

市長 大西 一史×現代美術館館長 日比野 克彦
2022年度は政令指定都市への移行から10年、市現代美術館の開館から20年の節目にあたります。
そこで、これからのまちづくりや課題解決に向けた取り組みについて、大西市長と日比野現代美術館館長のスペシャル対談を実施。
「アートのチカラで何ができるか!」をテーマに語り合ってもらいました。

「マチとヒトが交わる接点を現代美術館に担(にな)ってほしい」
大西 一史

「アートは、マチとヒトの処方箋(しょほうせん)になる!」
日比野 克彦
(プロフィール)
1958年、岐阜県生まれ。地域の特性を生かした市民参画型の芸術活動に全国で取り組む。熊本においては2007年、まち・市民と連携し作り上げた展覧会「現代美術館開館5周年・熊本城築城400年記念日比野克彦HIGO BY HIBINO展」を開催。その後もさまざまなアートプロジェクトやイベントを通して本市の活性化に尽力。2021年6月、熊本市現代美術館館長就任。2022年4月、東京藝術大学 学長就任。

◆「アート」という視点を持つことで市が抱える課題を解決に導く
(大西)日比野さんが館長に就任されてまもなく1年ですね。振り返ると、平成19(2007)年度の「HIGO BY HIBINO展」を皮切りに、熊本のまち・人と深く関わるアートプロジェクトを数々手がけてこられました。その活動を見てきましたので、「日比野さんを館長にお迎えしたら、敷居が高く感じてしまいがちなアートを、もっと市民の身近に誘ってくださるんじゃないか」と思い、就任をお願いしました。正直なところ、「果たして引き受けていただけるだろうか?」という不安はありましたが(笑)。快諾いただき、ありがとうございました。
(日比野)現代美術館(以下、現美)の館長に就任した際、「人々との関わりとプロセスを大切にしたアートプロジェクトや、土地の持っている力を発信する活動を積極的に展開していきたい」と思い、その準備をこれまでの1年間、少しずつ行ってきました。例えば、市役所のいろいろな課を訪れて本市の課題や困りごとを職員から直接聞き、「アート」という視点から検証することで解決策を導き出していく「御用聞き」という活動。きっかけは「芸術が関わることで発想を転換でき、難題も解決していけるのではないか?」という思いでした。これまでの1年間で4回ほど開催しましたが、イメージは市役所の中に美術部を作るような感じ。活動を通して各部署にアート的な視点で自分たちの役割を考えていけるような人たちを少しずつ増やし、その結果、美術館の人の心に働きかける機能が、まちの中でも感じられる都市にしていきたいですね。
(大西)「御用聞きをやられる」と聞いたとき、「え?将来的に市長をめざしていらっしゃるのか?」と思いましたが(笑)。「社会課題をアートのチカラで解決していくんだ」というアプローチを聞いてとてもうれしくなりました。しかも、ディスカッションしている様子を写真で拝見したのですが、職員がとても生き生きと楽しそうにしているんですよ。仕事とアートがつながっていることを自覚することで、職員はアーティストになる。新しい意欲がわいてくる。まさに日比野館長には熊本のやる気を引き出していただいています。

◆現代美術館の開館から20周年。「アートラボマーケット」が誕生予定!
(日比野)10月12日で現美は開館20周年の節目を迎えます。その記念事業として考えているのが、現在空いている元カフェスペースとミュージアムショップを統合し、ものづくりの楽しみを通して市民交流ができる「アートラボマーケット」をオープンさせることです。私が熊本にいるときはなるべくここにいて、市民や市職員と気軽に手を動かしながら話ができるような場所にしたいですね。また、アート的な視点で話し合う中で、出てきたアイデアや準備中の取り組みは壁に貼り出して、市民がそれを見て「あ、今こんなことに取り組んでいるんだな。おもしろそう!」とか、「これなら私も手伝えるな」とか感じてもらえたらいいですね。特に現美は街なかに位置し、買い物をしながら「いつの間にか美術館の中に入っていた」というような、構えずに足を運べる利便性を持っています。
(大西)確かに、スペース的に広いわけではありませんが、街なかにとてもなじんでいる美術館ですよね。比較的似ているのは、ニューヨーク近代美術館(以下MoMA)でしょうか。30年ほど前ニューヨークを訪れた際、「この美術館があるから街なかや生活の中に普通にアートが浸透しているな」という気づきを得ました。そんな場が日本にあればいいなと思っていたら、熊本にも現美ができた。本当にうれしかったですね。今後、職員が館長と対話することで新しい発想が生まれ、アートが街ににじみ出していくと、世界にも類を見ない場所になっていくと思います。私がめざすまちの姿の一つに「地域主義」というのがありますが、地域との関わりを深める接点を、これからの現美が担っていってくれると期待しています。

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