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青梅市医師会健康コラム95

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東京都青梅市

■たかが便秘されど便秘ー変わってきた高齢者の便秘治療ー
沢井診療所院長 宮下吉弘

便秘とは、「本来対外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義され、近年の疫学調査で生命予後を悪化させ、心血管イベントのリスクとなることが判明しています。慢性便秘の症状は、排便回数の減少(週3回未満)かつ排便困難症状(強いいきみ、残便感、頻回便、閉塞感)があることです。
日本では、江戸末期からセンノシドなどの刺激性下剤と浸透圧性下剤である酸化マグネシウムが使われてきました。このため、刺激性下剤の連用による習慣性、耐性(薬がききにくくなる)の問題や酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症の問題などが出てきました。
2012年から次々に6種類もの新しい便秘薬が登場しました。その多くは便の水分量を増加させ、便を軟らかくして排便を促す薬です。便は水分を吸収することにより膨張し、大腸の動きを活発にします。生理的な作用に近く、連用による耐性の問題もありません。また、体内にほとんど吸収されないため比較的安全に使用可能です。
高齢者施設入所者では、慢性便秘のある人は50%程度と推測され、排便ケアは施設における医療の最重要事項となっています。自院が管理医を受託している特養で、従来の治療で満足な排便が得られない人に、新規便秘薬を併用することにより、排便の改善が得られた方が多く認められました。慢性便秘でお悩みの方は、かかりつけ医と相談し、自分に合う治療薬を探し出すいい機会ではないでしょうか。

問合せ:健康センター
【電話】23-2191

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