■チームで優勝をつかみたい
愛三工業レーシングチーム 岡本隼(はやと)さん
10月2日~6日の5日間にわたって開催された自転車のアジア主要レースの一つであるツールド台湾に出場し、第1ステージのゴールスプリントで、他を寄せ付けずに勝利をつかんだ愛三工業レーシングチームの岡本隼さん。2018年の同ステージで優勝経験のある岡本さんは「勝てるイメージはありました」と話すも、今大会はコロナ禍での開催となり、例年とは違い、台湾に入国してからレース当日まで隔離生活を強いられます。「普段、レース前日は外で練習してコンディションを整えますが、今回は練習できませんでした」と自分のコンディションが分からないままレースがスタート。「最初は体が重くてうまく動かなかったけど、チームメートの集団コントロールやけん引のおかげで、脚をためることに専念でき、最後のスプリントを制することができました」と振り返ります。
岡本さんは自転車好きの父親の影響で、中学生の時にロードバイクを手にし、人力で風を切って走る爽快感やスピードに魅せられます。高校は自転車競技の名門・和歌山北高校に進学し、ロードレースを本格的に始め、高校日本一を経験。卒業後に進んだ日本大学でもトップに上り詰め、大学3年時に日本代表に選出されます。しかし、外国のトップレベルの選手との差に衝撃を受けた岡本さんは「海外の選手の強さは圧倒的でした。どうにかしてこの差を埋めて、強豪選手と対等に戦えるくらいの力をつけたい」と思い、アジアツアー常連の愛三工業レーシングチームに自身を売り込み、入団します。
チームの一員となって6年目を迎え、国内レースでは優勝を重ねるも、アジアツアーではなかなか成績を残せなかったチームを勝利に導いた岡本さん。「チームの目標はアジアでの勝利だったので、達成感はあります。ただ、これで全てを達成したということではありません」と気持ちを引き締めます。
ロードレースの魅力を「敵同士であっても同じ利害関係が生まれたら協力し合うこともあるのが、他の競技とは違うところ」と話す岡本さんは、今後について「チームとして狙うレースを確実に制して、『また愛三か』と言われるほど、優勝の常連になりたい」と目を輝かせます。チームで支え合いながらレースを展開し、仲間の思いを背負った一人がトップのゴールを目指して全力で駆けるロードレース。岡本さんは、チームの勝利のために、走り続けます。
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