■果樹園の土壌改良
「野菜類」は作付けごとに土を耕して栽培しますが、永年作物である「かんきつ類」は、一度植え付けると数十年間は同じ場所で栽培することになります。
生育の良否は順調に根が伸びて養水分を正常に吸収できることが重要です。今回は、植物の根を順調に発根させるための土壌改良について解説します。
◇1 根の生育
かんきつの根は、新芽の発生した後に発生し、6月、8月、11月頃に発根量が増加します。
なかには8月頃まで発根しない品種もあり、隔年結果性の激しい品種がこの傾向が強いようです。
発根量は、樹の外周部に多く、細い根が養水分をよく吸収します(写真参照)。
◇2 発根を促進させる土壌条件
土は無機成分(石がこなれたもの)や有機成分(植物の分解物など)の粒で構成され、土の種類により成分が異なります。
上島町の果樹園の多くは花崗岩という石が長い年月かけて風化した真砂土と呼ばれる粘土混じりの痩せた砂土です。排水はよいですが、何年も耕さなければ粘土を含んでいるため、雨で硬く締まりやすい性質があります。植物の根は、土の粒の隙間をぬって伸びるので、土が硬く締まると根を伸ばすことができません。
根が伸びやすい土は感覚的には柔らかい土ですが、科学的にはどんな土でしょうか。
土の構造は、土の粒である「固相」、空気を含む「気相」、水を含む「液相」で成り立っています。
植物がよく育つ土は、固相が50%、気相が25%、液相が25%といわれ、こうした土にするには、土を「団粒構造」という状態にする必要があります(図1参照)。
「団粒構造」は、土の粒を塊(かたまり)にして、塊の間に隙間を作る構造のことです。どのようにすれば、「団粒構造」ができるのでしょうか。
◇3 畑の土を柔らかくするためには
土を「団粒構造」にするには、腐植と呼ばれる植物の分解物を多く含む土にします。
腐葉土や樹皮を多く含む堆肥、稲わらや刈草などを毎年、畑に入れるとよいでしょう(1平方メートル当たり1kg程度)。アズミンという肥料はこれら有機物の代替資材とになります。
また、土を耕すことで土の中に空気を送り込むため一時的に気相が増えます。
ただし、果樹類では、耕起することで表層の根を切ってしまうので実施する時期(冬~早春)に注意して、頻繁には行わない方がよいでしょう。
果樹類では、冬の休眠期に樹の周りの外側の数か所にスコップで穴を掘り腐葉土や堆肥をいれて埋め戻す方法がよいでしょう(図2参照)。
腐植が増えると、肥料持ちがよくなります。あわせて、化学的な土壌改良として、2月~3月にかけて石灰資材(苦土石灰やカキガラ石灰など)を1アール(100平方メートル)当たり10kgを土にまくことで、土の酸度矯正ができて肥料を有効に吸収できます。
土壌改良は毎年続けて行うことが効果的です。
※詳細は本紙をご覧ください。
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