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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■イノシシは、どんな動物?
上島町では、平成16年ころからイノシシによる農作物の被害が見られ始めました。防護柵の取り付け、罠や狩猟により毎年200頭余りを捕獲しているにもかかわらず農作物の被害は減りません。民家周辺に出没し不安を募らせる住民もいらっしゃると聞きます。改めて、イノシシという野生動物の生態や行動などについて解説します。

◇生態
(1)分布
西日本を中心に広く分布するニホンイノシシは、林地や植草の多い里山に好んで生息します。全国的に分布の拡大が見られ、原因として、暖冬による産子(うぶご)の生存率の高まり、ハンターの減少による狩猟圧の低下、耕作放棄地の増加などと考えられています。イノブタの交配による産子数の増加が疑われましたが、数世代でイノシシの産子数に戻るようです。

(2)形態
中型のほ乳類のイノシシは、短く太い首を持ち、四肢は短く、体は剛毛に覆われ、体形は、茂みの中を進むのに適した、前駆(ぜんく)が発達した丸い流線型をしています。雄雌ともに犬歯が発達した牙があり、雌の牙は口唇からはみ出すことはなく、雄の牙は3歳齢ころから口唇からはみ出します。体色は、黒褐色から赤褐色で、生まれたばかりの子は、白またはベージュ色の縞模様が入り、ウリボウと呼ばれ、3か月~6か月齢ころには消えていきます。

(3)生殖と産子数
イノシシは、生後1年半で性成熟に達しますが、雄は、雄同士の闘争に勝てる3歳齢から生殖に参加するようです。年1産で晩秋から冬にかけて交尾し、妊娠期間は約120日、5月~6月に出産します。まれに、春の産子が死亡して授乳が止まると発情し、秋に分娩することもあります。1回の分娩で2頭~7頭、平均で4頭から5頭の子を産むようです。

(4)食性
イノシシが繁栄しているのは、さまざまな環境で食べ物を得ることができる雑食性と優れた学習能力のおかげと言われています。山野にある植物から小動物など地中を掘り返して食料を探しあてます。

(5)行動の特性
イノシシは警戒心が強いため主に人の活動しない夜間に活動します。(夜行性と思われがちですが、危険が無ければ昼間にも行動します。)行動パターンは定住期と移動期を繰り返すようで、移動期には海を泳いで渡る個体もあると考えられます(写真)。イノシシの社会は、複数の子どもを連れた1頭以上の成雌からなる母系グループと単独成雄と生殖に参加しない若雄グループの3タイプに分けられ、強いなわばりは持たないと言われています。
※写真は本紙をご覧ください。

(6)能力
臭覚は犬並みに優れています。視覚は弱いですが、青系統の色覚能力や動く物体にすばやく反応するようです。運動能力は、時速45kmの走力と1mの障害物を飛び越える跳躍力を備えますが、飛び越えるよりも潜り抜ける傾向が強いようです。鼻の力が強く70kg程度の物を動かすことができます。

(7)学習能力
イノシシは、学習能力が高く、柵の突破に1頭が成功すると他の個体もまねて侵入できるようになるといわれています。また、罠での捕獲獣は雌が少ない(図参照)理由として、幼獣を連れている雌は、幼獣が罠にかかることを学習していると推測されています(愛媛大学武山)。ブタは管理者を見分けるそうで、人家近くに出没するイノシシは人を見分ける学習をして、若い大人を見ると逃げ出すが老人や子供を見ても逃げないという現象が観察されているようです。イノシシは学習能力が高いので、野菜や果実を安易に畑や山に捨てることで、餌付けとしてイノシシが学習し、おびき寄せることになります。また、ワイヤーメッシュは突破されないよう点検を行い、弱点を敵に見せないよう個々で気を付けましょう。

図 罠による捕獲イノシシの性比(愛媛大学)

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