◆市長対談コーナー 第10回
石黑 實(いしぐろ みのる)さん(調布・狛江地区 保護司会会長)
市内の各分野において活躍されている方(躍動人)に、市長がお話を伺うコーナーです。
今回の躍動人は、調布・狛江地区保護司会会長を務められている石黑實さんです。保護司としての活動を中心に、保護司への思いや幅広く行っている地域活動について伺いました。
◇保護司としての活動
市長:現在、石黑さんは調布・狛江地区の保護司会会長として更生保護活動に携われています。保護司は法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員となりますが、最初に活動内容に関して、お伺いしたいと思います。
石黑:一言で言えば、保護司は犯罪・非行を行った人の更生やスムーズな社会復帰の支援を担っています。私自身、保護司の活動を始めて約19年になりますが、今まで10数人の更生に携わってきました。
市長:保護司の活動を始めるきっかけは何だったのでしょうか。
石黑:一番大きな理由としては、一点の光に向かって頼ってくる子どもたちに少しでも力になってあげたいとの思いから引き受けました。保護司はある意味で究極のボランティア活動に近い部分があり、犯罪や非行から一人の人間をいかに更生させるかという、非常に大きな使命感を感じながら活動しています。
市長:一言に「更生」と言っても、例えば再犯をいかに防ぐかといったことも含めて、大変難しい活動ですよね。
石黑:その人がきちんと仕事に就くことができれば、再犯の可能性はかなり少なくなります。狛江市内にも協力雇用主ということで就職を受け入れてくれる企業が何社かあり、非常にありがたいことです。保護司の活動は決して楽なものではありませんが、自分が受け持っていた子どもが元気で仕事を頑張っている様子や、立派に成長した様子を街の中で見た時にはすごくうれしいですし、保護司をやっていて良かったなと思う瞬間の一つです。
◇社会を明るくする運動
市長:保護司の活動の一つとして、「社会を明るくする運動」があります。毎年7月を強調月間として、全国的な運動で行われていますが、狛江市では市内中学生によるコンサートや啓発標語優秀作品の表彰式等が行われています。
石黑:よく「社明(しゃめい)運動」と略して呼ばれることがありますが、保護司の活動や犯罪・非行の防止、罪を犯した人たちの更生に対する理解を深める啓発活動として実施しています。我々も一歩間違うと犯罪に巻き込まれたり、加害者になってしまっていたということもあり得ます。
市長:特に子どもの場合は、「友だちに誘われて」と軽い気持ちで犯罪に巻き込まれてしまうケースも考えられますよね。
石黑:一番難しいのは薬物です。薬物犯罪の場合は、再び薬物に手を出してしまうという悪循環に陥る可能性が非常に高いです。社明運動を通じて、多感な中学生の時期に、安全で安心して暮らせるまちは自分たち自身がつくっていくという意識を身に付けてほしいですね。
市長:子どもたちからも「薬物には絶対に手を出さない」といった啓発標語がよく応募されているのを拝見しますが、大変有意義な活動につながっていると思います。
◇幅広い地域活動を通じたまちづくり
市長:石黑さんは保護司以外にも、JAでも代表理事を務められていらっしゃいます。また、昨年まではシルバー人材センターの会長も務めるなど、地域の中で幅広い活動をされています。
石黑:今までシルバー人材センターはなかなか会員が増えないといった課題もありました。いかだレースにも参加するなど、精力的にPR活動を行い、現在では全国でも有数の入会率を誇っています。
市長:いかだレース当日も会員さんが何十人も応援にいらっしゃって、イベントを盛り上げていただいていますよね。高齢化社会の中で、いつまでも楽しみながら体を動かして、元気に働く。生活を充実させるという面でも素晴らしいことだと思います。
石黑:101歳でポスティングのお仕事をされている方もいます。「もう年だから止めた方が良いのでは」という考えもあるとは思いますが、本人にやる気があって元気なうちはぜひ応援したいですね。
市長:最後に市民の皆さんに向けてメッセージを頂戴できればと思います。
石黑:市役所では更生保護相談を毎月実施しています。一つの相談場所として、そういった窓口があることもぜひ知っていただきたいです。また、更生保護については、保護司だけで活動できるものではなく、地域社会全体の協力がないと成り立たないものです。これからも一生懸命頑張っていきますので、ぜひご理解とご協力をお願いします。
市長:保護司以外にもいろいろな活動をされており、人にやさしいまち・狛江のまちづくりの一翼を担っていただいていると強く感じました。引き続き、ご協力とご尽力をいただければと思います。本日はありがとうございました。
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