■椛島
人口:92人
面積:8.69平方キロメートル
(10月31日現在)
アイスグリーンのモダンな外観の定期船「ソレイユ」で、福江港から椛島へ。黒革のがま口鞄で乗船券を販売・回収する昔ながらのスタイルが郷愁を誘います。25分ほどで「かたつむり」を意味する「ツブラ島」を横目に到着しました。
椛島には本窯と伊福貴という2つの集落がありますが、その区間は5.5kmほど。椛島の見どころを紹介した「椛島さるくマップ」を片手に歩いてみるのもオススメです。道中には長刀石という奇岩があったり、中間地点には学校(現在休校中)、町を見渡せる神社があるなど、約3時間で歩くことができます。近くの堤防で釣り人に釣果を聞くと立派なイシダイが!その地形上、昔から良い漁場であり、釣りの聖地でもあります。
歩いてみると、その昔、車もなく舗装された道路もない時代、島であることは、それほど不便ではなかったのではないか、と感じます。というのも、船で人や物を運ぶ方が陸路よりも格段に便利で、人々は海の上を自由自在に往来していたのではないかと。近代化が進むにつれて、「島は不便」という感覚になり、よく「島には何もなか」と言いますが、それは「余計なものが何もない」ということで、むしろ人間が生きるために必要なものは全部ある、と思えます。「島には診療所や郵便局もあり、店はなくても電話注文で福江から届けてもらえたり、ご近所との貸し借りで事足りる」と島民の方が教えてくれました。
旅の途中で出会ったのは、伊福貴に住む桑原政枝さん。週に一度デイサービスに通いながら一人暮らしをしています。若い頃は仕事をしながら子育ても畑もやって、元気の秘訣は「食べること!」と即答。「97歳の誕生会を今度デイでやってもらう」と嬉しそうです。
島に暮らす人の穏やかさと逞しさ、そして助け合うことの大切さを感じた旅でした。
取材・執筆:ライターグループfumoto
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